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セージの効果とその作用

セージはヨーロッパ南部の地中海原産のシソ科のハーブの一種。和名では「ヤクヨウサルビア」と呼ばれるように、古くから薬用として喉や口の炎症や消化不良といった症状緩和などに用いられてきました。

独特の香りや苦味は薬用としてだけではなく、現在では肉や魚の臭み取りとして料理用のスパイスとして用いられたり、ハーブティーとして飲用されています。また、精油はアロマテラピーなどに用いられるなど、薬用にとどまらず幅広く活用されています。

ここでは、セージについて成分や効果・効能、摂取量の目安や副作用など詳しく解説していきます。

セージとはどのような成分か

薬用としての利用のほか、料理やアロマテラピーなど幅広く利用されているセージ。セージグリーンと呼ばれる独特の白がかった緑色の葉を摘み取り、乾燥させて利用されることが多くなっています。このセージに含まれる代表的な成分には、ツジョン、カンファー、ボルネオールなどの精油のほか、フラボノイド、ロズマリン酸、苦味質(カルソノール)、フェノール酸などがあります[※1]。古くからハーブとして親しまれ、ハーブティーとして飲用することでさまざまな薬用効果のほか、リラックス効果があるといわれています。

セージの効果・効能

セージには以下のような効果・効能が期待できます。

■臭い消し

肉類の臭みを消す効果があります。特に豚肉やラム肉など独特の臭みがある素材との相性良いといわれています。

■喉の痛みや口内炎の予防

抗菌、抗ウイルス作用に加えて収れん作用により、喉の痛みや風邪、発熱症状を抑える効果があるといわれています。また、セージに含まれるツヨンには歯周炎や口内炎といった口腔内粘膜の炎症や腫れを予防する効果が期待できます。[※2]

■消化促進

胃腸内のガスを排出する効果があり、消化不良や下痢、大腸炎や肝臓に有効とされており、さらに殺菌作用によって胃腸炎などの感染症の改善にも効果が期待されています。また、消化酵素と胆汁の分泌を促進することから胃の働きをサポートしてくれます。精神安定の効果によりストレス性の胃炎や腹痛などの緩和にも期待ができます。

■血行促進

抹消欠陥を拡張し、血行を促進する作用があるため、冷え性や低血圧の改善、疲労回復や体の強壮などに効果が期待できます。

■女性特有の症状への効果

セージにはエストロゲンに似た作用があることから、異常発汗やホットフラッシュなどの更年期特有のさまざまな症状を緩和緩和に役立ちます。精油にはリラックス効果があり、気持ちの落ち込みやイライラの緩和などを落ち着ける効果も期待できます。また、血行を促進する効果があり、月経痛の緩和や月経不順、月経前症候群(PMS)などの月経トラブルの緩和にも有効とされています。

■老化防止

セージにはタンニンやフラボノイドといった抗酸化物質が含まれていることから、高い抗酸化作用があります。老化の原因といわれる活性酸素による酸化を防ぎ、動脈硬化などの生活習慣病予防にも効果が期待されています。

■精神安定

セージの独特の香りには神経バランスを整える効果が期待されています。軽いうつ症状やイライラ、集中力の欠如、ストレスや不安など情緒不安定さの緩和にも役立つといわれています。また、独特のすっきりとした香りは記憶力の向上や集中力アップに効果的なので、頭をシャキッとさせたい時に効果が期待できます。

どのような作用(作用機序・メカニズム)があるか

セージの葉から抽出される精油には、シヨン、シネオール、ボルネオール、カンファー(樟脳)などの成分が含まれています。これらの成分には、程好い芳香や味を持つことから、香料や化粧品、食品添加物として利用されています。また、薬用やアロマテラピー用の精油(エッセンシャルオイル)としても用いられています。

各成分の作用は次の通りです。

■ツヨン

メントールのような香気を有する精油で、強い抗菌作用や防腐効果があります。マリファナの主成分である、テトラヒドロカンアンビノール(THC)と化学構造が類似していることから、習慣性に摂取すると麻薬作用や嘔吐、厳格、錯乱、痙攣などに陥ることがあります。

■シネオール

心地の良い芳香や味が持つため、食品添加物や香料、化粧品、口中清涼剤、咳止めなどに利用されています。副鼻腔炎の治療や、炎症・痛みを和らげる効果もあるとされています。

■ボルネオール

抗うつ、穏やかな鎮痛、抗ウイルス、消毒、副腎皮質刺激、全身および心臓強壮作用といったアロマテラピーでの作用があるとされています。

■カンファー

一般的に樟脳と呼ばれる物質で、いわゆる「カンフル」のことです。カンファーには医薬品としても使われている鎮痛消炎作用が高い成分となっています。他には、服などの防虫・防腐剤だったり、香料を生成する際の成分として使われることがあります。

また、セージの精油はごく少量で効果を発揮するといわれているため、飲用などの経口摂取はできません。アロマテラピーなどで利用する際には、他のハーブよりも控えめにする必要があります。

セージには他にもタンニン、フラボノイド、サルビン酸、カルノシン酸、フェノール酸などが含まれ、さまざまな健康に対する効果があるとされています。特にタンニンが持つ収れん作用には、止血や鎮痛、防腐などの効果があるため、月経過多や多汗を抑える目的で用いられています。

どのような人が摂るべきか、使うべきか

セージはハーブティーとして飲用することで、喉の痛みや口内炎の予防、月経痛などの女性特有の悩みに働きかける効果や消化促進の効果などがあります。こういったそれぞれの症状を改善したいという方におすすめです。また、アロマテラピーとして精神安定やリフレッシュしたい方にも使用されています。

セージの摂取目安量・上限摂取量

セージには強い作用があるため、特に精油は多量に用いることは危険です。ツヨンのように有毒物質を含んでいるため、誤って服用した場合には発作が起こり、精神錯乱や炎症、神経障害や筋肉障害を引き起こすことがあるため危険です。精油をマッサージやスキンケアに用いる場合は希釈して利用する必要があります。

6. セージのエビデンス(科学的根拠)

1938年に成立した香辛料の対酸化についての特許では、クローブオイルなどのスパイスオイルが食用油脂の酸化を防止、抑制するとされています。これを受け、1950年代になって、Chipaultらによる78種類の香辛料の抗酸化性を調べた研究では、ローズマリーやセージに非常に高い抗酸化性があると認められました。[※2]

研究のきっかけ(歴史・背景)

セージとはシソ科サルビア属のハーブの一種で、ヨーロッパ南部の地中海沿岸地方が原産の多年草です。属名のsalviaは、ラテン語のsalvere(治癒する)に由来するといわれています。一般的にセージといえば薬用サルビアといわれるコモン・セージを指しますが、アキギリ属(サルビア属)全体を指すことがあることから、区別するためにコモンセージやガーデンセージと呼ばれることがあります。セージグリーンと呼ばれる白っぽい緑色の葉が特徴で、春から夏にかけては薄紫やピンク色の花を咲かせます。

古くから「長寿のハーブ」として健康や家庭の幸せの象徴として親しまれ、ヨーロッパでは「長生きしたければ5月にセージを食べよ」など、セージにまつわることわざがあるほどです。独特の強い香りや苦味があるため、薬用として用いられるだけでなく、16世紀頃からはスパイスとして肉料理や魚料理の臭み消しなどに用いられています。

日本には明治12年頃に渡来し、かつては薬用植物園で見られましたが、次第に葉を乾燥させてハーブティーとして飲用することが多くなりました。ハーブティーとして飲用することで、喉の痛みや口内炎などの予防、消化や血行の促進といった効果があります。また、セージの葉から抽出した精油にはリラックス効果があるといわれており、アロマテラピーなどにも活用されています。このようにセージは古代から現在までさまざま用途で幅広く利用されています。

専門家の見解(監修者のコメント)

厚生労働省によると、セージの効果は以下のように発表されています。

「2件の小規模試験では、セージが健康な若齢者において気分や精神能力を向上させ、高齢者において記憶力や注意力を向上させることが示唆されています。別の小規模臨床試験では、セージ抽出物は、思考力および学習力の向上において軽度から中等度のアルツハイマー病の高齢者に対し、プラセボよりも高い効果を示唆しました。
セージ精油が、抗微生物作用を有することが、基礎研究により示唆されています。」[※4]
(厚生労働省「統合医療」情報発信サイトより引用)

また、注意事項として「セージの種類によっては、ツヨンを含有するため、神経系に影響を与えるおそれ」や「アレルギー反応や過敏性反応を引き起こす可能性」[※4]も述べています。

9. セージを多く含む食べ物

セージには独特の強い香りがあるため、スパイスとして肉料理や魚料理などに多く利用されています。料理に使う際には、生の葉を刻んで使用したり、乾燥した市販のスパイスを使用したりします。セージが語源になっているといわれるソーセージにも、肉の防腐効果や香り付けのために含まれていることが多いです。セージの香りはとても強いため、少量でも香りを実感できます。

また、食べ物だけでなく、精油をアロマテラピーとして用いたり、ドライフラワーやリース、入浴剤やせっけんなどに配合するなど、さまざまな方法で利用されています。

相乗効果を発揮する成分

ハーブティーとしてセージを摂取する場合、独特の苦味や香りが強いため、量を少なくしてペパーミントやレモンバーム、レモングラス、レモンバーベナといったハーブとブレンドすると飲みやすくなるとされています。

また、セージには油っぽさを抑える効果があることから、豚肉やラム肉、鯖などの独特の風味や脂質のある素材を使用した料理に使用することで油っぽくない料理に仕上げることができます。

セージの副作用

セージは適切に用いれば安全といわれていますが、長期および過剰に摂取する場合には情緒不安や嘔吐、めまい、頻脈といった症状を引き起こす可能性があります。特に精油には尿生殖器官に刺激を与えるといわれています。妊娠中に摂取することで子宮の収縮を引き起こす可能性があるため摂取を避けるようにしましょう。また、授乳中の女性が摂取した場合、セージを含むハーブ製品についての安全情報が少ない現状からできるだけ摂取しないことが推奨されています[※5]
また、てんかん発作の引き金になるツヨンを含んでいるため、てんかん患者の摂取や使用は禁忌となっています。