ルイボスの効果効能、作用のメカニズム、副作用などについて解説しています。ルイボスは南アフリカ原産の植物です。乾燥させた葉はルイボスティーの茶葉として使われています。ルイボスティーには鉄の吸収を妨げるカフェインがほとんど含まれていないため、とくに女性に人気です。ルイボスティーが日本でブームとなったきっかけや、ルイボスの研究データもご紹介しています。
ルイボスは、南アフリカのセダルバーグ山脈の周辺にしか生育しないマメ科の植物で、現地では古くから「不老長寿のお茶」として日常的に飲まれていました。乾燥すると葉が赤茶色になることから、現地語で「赤い藪」という意味があるルイボスと呼ばれています。
多くの効能があるため、オーストラリアやカリフォルニアなどほかの地域でも栽培が試されましたが、いまだに成功した試しはありません。
ルイボスは昼夜の気温差が30℃以上になる過酷な環境で育つ植物です。そのため、地中に蓄えられた水分やミネラルを吸収できるように、その根を10mにも伸ばすといわれています。
日本では1980年代ごろからカフェインが含まれていない健康茶として飲まれ始め、近年ではエイジングケアやアレルギー症状の改善など多くの効果があるとわかり、改めて注目されています。[※1][※2]
ルイボスには、次のような効果・効能があるとされています。[※1]
■美肌効果
ルイボスには抗酸化作用があるため、シミ・しわや肌荒れを改善し、アンチエイジングや美肌づくりを手助けしてくれます。
■便秘を改善する効果
ルイボスに含まれるマグネシウムが便秘の改善に役立ちます。また、活性酸素を取り除き、腸内環境を整えるはたらきがあります。
■アレルギー性皮膚炎の予防
ルイボスに豊富に含まれるフラボノイドが、アレルギー症状を引き起こすヒスタミンの生成を抑えます。
■血圧を抑える効果
カリウムが豊富に含まれているため、摂りすぎたナトリウムを体外に排出して血圧を下げるのに役立ちます。また、脳の中枢に働きかけて血圧を維持する物質も含まれており、血圧を抑えるのに効果的です。
■糖尿病予防
糖尿病に深くかかわっているとされる活性酸素を取り除き、血糖値を下げて正常にするはたらきがあります。
■白内障予防
ルイボスのもつ抗酸化作用により、老化や糖尿病などが原因でかかる白内障の進行を抑えるはたらきがあると考えられています。
そのほか、活性酸素を取り除くはたらきによって、次のような症状・疾患の予防効果も期待できるといわれています。
ルイボスのもつ美肌、アレルギー性皮膚炎・高血圧・糖尿病・精神疾患・不眠などの予防などの効果は、活性酸素を取り除く抗酸化作用によるものです。
活性酸素には病原菌から体を守るはたらきがあり、生物が生きていくうえで必要なものですが、増えすぎてしまうと細胞を傷つけ老化を早めたり、さまざまな病気を引き起こしたりする原因となります。
ルイボスに含まれる豊富なフラボノイドは、活性酸素を取り除く酵素(SOD)を活性化させ、増えすぎた活性酸素を減らす役割を果たします。
ルイボスのもいひとつの大きな特徴は、ミネラルを豊富に含んでいることです。このミネラルは、煮出すことによってより抽出され、体内に効率よく吸収されます。豊富に含まれるミネラルの中でも、いちばん多く含まれているのがカリウムです。
カリウムは、摂りすぎたナトリウムと合体して体外に排出するはたらきがあるため、血圧を整え、高血圧を防ぐのに役立ちます。[※1][※2][※3]
ルイボスはカロリーゼロで美肌・便秘に効果があるため、美容が気になる人やダイエットしたい人に向いています。
激しい運動をすると活性酸素が発生しやすくなるため、ミネラル補給と抗酸化作用が一緒にできるルイボスティーはスポーツをする人にもおすすめです。
高血圧や糖尿病など生活習慣病が気になる人のほか、活性酸素を取り除く酵素(SOD)のはたらきが鈍ってくる中高年以降の人や若さを保ちたい人も積極的に摂ると良いでしょう。
ルイボスはカフェインが含まれておらず、タンニンもお茶の10分の1と少ないため、小さな子供や妊娠中・授乳中の女性も安心して飲むことができます。[※1][※2]
ルイボスの摂取目安量や上限量はとくに定められていません。ルイボスティーやルイボスエキスを含む食品の摂取目安量は、ルイボス以外の成分量をふまえたえうえで設定されているため、商品によって異なります。
摂取する際は、商品に記載されている目安量を参考にしましょう。
ルイボスの美肌効果を裏付ける研究データを2つご紹介します。
山口県立大学の看護栄養学部に所属する人見英里教授らは、1999年にルイボスティーの抗酸化作用を調べる研究を行いました。
実験では、酸化しやすいコレステロールを実験対象として使用しています。沸騰した蒸留水にルイボスの茶葉を浸し、1分ごとに抗酸化試験を行った結果、5分以上茶葉を浸したルイボスエキスに抗酸化作用が認められました。この実験からは、ルイボスの濃度が高ければ高いほど抗酸化作用が持続することもわかっています。[※1]
また、実験で効果が認められたルイボスエキスの濃度を計算したところ、市販されているルイボスティー(3gの茶葉を1リットルの水で20分間煮出したもの)と変わらない濃度だったことが発表されています。[※1]
そのため、市販されているルイボスティーを飲むことで、細胞の酸化を防げる可能性があります。
また、神奈川県横浜市に本社を構えるポーラ化成工業株式会社では、加齢とともに弱まるリンパ管内細胞に対して、ルイボス抽出エキスが与える効果を研究しています。
培養したリンパ管細胞にルイボスエキスを添加した結果、リンパ管細胞を丈夫にする物質が増え、さらにその物質が活性化されることが明らかになりました。また、ルイボスエキスによって、血管内細胞を丈夫にする物質が増えることも明らかになっています。実験の結果から、ルイボスエキスによって血管とリンパ管が丈夫になる可能性が高いことがわかりました。[※5]
また、ポーラ化成工業株式会社が実施した別の実験では、ルイボスエキスを8週間継続して摂ることによって、皮膚の弾力性や肌荒れが改善することが明らかになっています。[※6]
このような研究データから、ルイボスは、活性酸素が原因となるシミやしわ、たるみやくすみを予防すると考えられています。また、肌の弾力を改善する効果もあることから、化粧品への応用が進められています。
ルイボスティーが日本で飲まれるようになったのは1980年頃。一部の人にしか飲まれていなかったルイボスティーがブームになったきっかけは、2013年に行われた広島工業大学生命学部食品生命科学科の研究報告です。
実験では、ルイボスティーを1.5リットル飲んだあとに3時間の運動を行いました。その結果、運動時に発生する活性酸素が抑制されたという結果が出たのです。
このときルイボスエキスではなく「ルイボスティー」を使った実験で抗酸化作用が認められたことから、飲み物としての需要が一気に高まったと考えられています。ルイボス・マーケティング・リミテッドの情報によると、ルイボスの国内年間販売量は2010~2013年にかけて1.6倍に増えたそうです。
現在は茶葉やティーバックのほか、ペットボトル飲料やルイボスエキスを利用した化粧品も販売されています。[※2][※6]
肌の再生医療を専門とするRDクリニックが配信しているメールマガジンでは、ルイボスティーが次のように紹介されていました。
「ルイボスティーの効能については、科学的にも研究が進められ、多くの論文が発表されています」(RDクリニックメールマガジン「【肌を知ろう♪】Vol.57 ☆ ルイボスティーの薦め」より引用)[※7]
「緑茶や紅茶と比べ、カフェインもタンニン(鉄の摂取を妨げる物質)も極少量しか含まれていませんので、たくさん飲んでも安心です」(RDクリニックメールマガジン「【肌を知ろう♪】Vol.57 ☆ ルイボスティーの薦め」より引用)[※7]
とくに女性は月経や妊娠、授乳などで鉄が大量に消費されるため、緑茶や紅茶を飲むと貧血になる可能性があります。カフェインやタンニンが少ないルイボスティーなら、貧血になるリスクを抑えられるはずです。
また、ルイボスティーに含まれるフラボノイドとアスタキサンチンの魅力についても次のように語られています。
「ルイボスティーに含まれる美肌成分『フラボノイド』は水に良く溶けます。その上、熱にも強いので、お茶として摂取するのに最適な物質です。
細胞には、脂の多い部分と水の多い部分がありますから、脂の多い部分の活性酸素は『アスタキサンチン』に、水の多い部分の活性酸素は『フラボノイド』に退治してもらってはいかがでしょうか」
(RDクリニックメールマガジン「【肌を知ろう♪】Vol.57 ☆ ルイボスティーの薦め」より引用)[※7]
アスタキサンチンとフラボノイドは、それぞれ活性酸素が発生している場所にアプローチしてくれると考えられています。
ルイボスの茶葉を使ってつくるスイーツのレシピをご紹介します。
【用意するもの】
★1
★2
★3
【つくり方】
酸味が欲しい場合は、フルーツソースやヨーグルトソースをかけるのがおすすめです。
改善したい症状に合わせてルイボスとハーブをブレンドし、ハーブティーにしていただきます。
■アレルギー性皮膚炎の予防
体質を改善し、アレルギー症状を和らげる効果をもつハーブとブレンドします。
ネトル:浄血作用がありアレルギー体質を根本的に改善する
ジャーマンカモミール:消炎効果とリラックス効果でアレルギー症状を和らげる
ローズヒップ:皮膚の修復に必要なコラーゲンの生成を助けるビタミンCが豊富に含まれている
■シミ・しわの防止
美肌に効果のあるハーブとブレンドします。
ジャーマンカモミール:破れた毛細血管を治して肌の弾力を高め、加えて腸内環境を整え便秘を解消する
ヒース:シミや色素沈着の予防に効果があるアルブチンを多く含む
ハトムギ:ビタミンやアミノ酸を含み美白効果がある
ルイボスティーは基本的に安全だといわれていますが、体質や病歴、服用している医薬品などによっては、副作用が起こるケースもあります。これまでに、ルイボスティー摂取による被害事例が4件報告されています。
副作用が起こった人 | ルイボスティーの摂取量・摂取期間 | 副作用 |
---|---|---|
アトピー性皮膚炎の日本人少女(8歳) | 不明 | 突発性中枢性尿崩症 |
B細胞悪性腫瘍治療中のフィンランド人女性(42歳) | 1リットル・2週間 | 肝機能障害 |
ステロイドとスタチンを服用中のアメリカ人男性(52歳) | 不明・1か月 | 急性肝炎 |
臍ヘルニアの手術歴があるアメリカ人男性(37歳) | 1日10カップ・1年間以上 | 肝機能障害 |
また、ルイボスティーの大量摂取やルイボスエキスを含むサプリメント摂取、妊娠中や授乳中のルイボス摂取に関する安全性データは不十分です。[※9]
これまでに、ステロイド(抗炎症薬)とスタチン(コレステロール低下薬)を服用中にルイボスティーを摂取して、急性肝炎が起こった事例が1件報告されています。
医薬品との相互作用に関するデータはくわしくわかっていませんが、ステロイドとスタチンを服用中の人は、なるべくルイボスティーの摂取を避けたほうが良いでしょう。