プロテインとは、日本語でたんぱく質のことです。たんぱく質は、生命活動を維持するのに欠かせない栄養素の1つです。肉・魚・大豆製品・卵や乳製品などに多く含まれており、通常の食生活でも補えるものですが、栄養がなんらかの理由で不足している場合、筋肉を増強させたい場合、栄養バランスを整えたい場合など、効率よく摂取できる栄養源として、加工された「プロテイン」があります。
プロテインとは、「たんぱく質」を英語訳したものを指します。たんぱく質は、20種類のアミノ酸から構成されています。
このうち、体内で作ることのできないアミノ酸を必須アミノ酸と呼び、9種類が該当します。この9種類を多く含むものは、アミノ酸バランスが食品と言えます。
食品としては、肉・魚・卵・乳製品の動物性たんぱく質がそれに、該当します。しかし、これらは食事から摂取できますが、同時に脂質も含まれており、たんぱく質量を増強させたい場合、同時にエネルギーの摂取も増えてしまいます。[※1]
余分な脂肪を減らし、たんぱく質を効率よく、吸収できるようにしたパウダー状やゼリー状などの商品が「プロテイン」として販売されています。
サプリメントとしてのプロテインは、種類によって特性が違い、乳類から作られるホエイは腸からの吸収が早く、筋肉合成に有効な必須アミノ酸、BCAA
が豊富です。
カゼインはゆっくりと吸収され、アミノ酸やグルタミン酸が豊富です。また大豆から作られる植物性のソイプロテインはゆっくりと吸収され、代謝をサポートします。種類によって、それぞれ特徴や成分が異なります。[※6]
肉や魚など食事からたんぱく質は補えますが、脂肪も一緒に摂取してしまうので、パウダー状になっているプロテインを水などに溶いて飲むと効率よく摂り入れられます。
プロテインは様々な種類が販売されていますが、原材料の違いによって吸収率や体へのサポートも異なります。
牛乳を材料とし、筋肉合成や修復に必要な必須アミノ酸やBCAA(分子鎖アミノ酸)を含みます。特に吸収が早いので、運動直後(30分以内)に摂取することで、トレーニング後の筋肉の回復を助けます。筋肉増強向けのプロテインです。
カゼインはホエイプロテインと同様、牛乳を材料としています。吸収されるまでの時間がゆっくりなため、満腹感も持続します。睡眠時は成長ホルモンの分泌が活発になるため、睡眠1時間前くらいに摂取すると、プロテインの吸収が高まり、筋肉の回復を助けます。
大豆を材料としているプロテインなので、血中コレステロールを下げる働きや脂肪燃焼効果などダイエットや体重のコントロールが必要なスポーツ選手に適したプロテインです。
■筋肉の増強
筋肉は、たんぱく質からできていますが、たんぱく質を補うだけでは筋肉にはなりません。筋肉は筋繊維が束になってつくられており、筋肉を大きくしていくためには、運動などにより筋繊維を壊します。
そこに筋肉の材料であるプロテイン、糖質、ビタミンやミネラルなどの栄養素を補い、運動によって刺激を受けた筋肉を休めることで、筋肉が修復され発達していきます。この繰り返しを継続していくことで筋肉が増強していきます。[※6]
■ダイエット効果
市販されているプロテインを摂取しただけではダイエット効果は期待できません。効率的な効果を発揮するためには、運動後に、プロテインを摂取することがおすすめです。
運動とプロテインを合わせることで、筋肉量が増し、基礎代謝量が高まることで、消費エネルギーが増えるのでダイエット効果が現れます。エネルギーを消費できる唯一の臓器が筋肉なのです。
基礎代謝量は10代をピークに年齢とともに減っていくので、筋肉維持のために運動が不可欠になるのです。[※2]
またプロテインは余分な脂肪が少ないためカロリーをコントロールしやすく、代謝に必要なビタミンやミネラルもプラスされているので、ダイエットをサポートしてくれます。さらに種類によっては腹持ちも良いので、食べ過ぎを防ぐこともできます。
■免疫力を高める効果
免疫とは、ウイルスや病原菌な侵入を阻止や体内に発生した害をもたらす細胞を除去する自己防衛機能のことです。
免疫細胞と呼ばれるリンパ球、マクロファージ、免疫グロブリンなどはたんぱく質からできているので、たんぱく質が不足してしまうと免疫力も低下してしまいます。[※3]
さらにたんぱく質は筋肉の材料にもなりますが、筋肉量が少ないと基礎代謝量も下がるため、体温も下がり、免疫力が低下するという悪循環に陥ります。
プロテインを補うことは免疫細胞をつくり、さらに体温を上げる働きにより、免疫力を高めることにつながります。[※3]
■骨を丈夫にする効果
コラーゲンは、アミノ酸から生成されます。骨は、コラーゲンを骨格にして、リン酸カルシウムが沈着していきます。
さらにコラーゲンには骨にカルシウムが定着をサポートし、関節の軟骨部に存在して潤滑油としても働くので、骨粗鬆症や関節炎を予防します。したがってコラーゲンの材料となるプロテイン摂取が有効になります。
■集中力・思考力の向上
気持ちを落ち着かせてくれるセロトニンややる気を出してくれるドーパミンなどの神経伝達物質はたんぱく質から作られています。
すなわちたんぱく質の不足は神経伝達物質の原材料の不足のため、集中力や思考力の低下、心身の不調などを招きます。材料をしっかりと補うことで、集中力・思考力の向上に効果的です。
筋肉や骨・皮膚・内臓・血液・髪の毛など人の体の構成成分のもととなるのがたんぱく質(プロテイン)です。そのほか、代謝反応に不可欠な酵素、機能を調節するホルモン、免疫の抗体、遺伝子、エネルギー源とさまざまな役割をもっています。
食べ物から摂取したたんぱく質は、消化器官でアミノ酸に分解され、小腸から吸収され、その後、肝臓を経て、血液によって全身へと送られます。
体の各組織に運ばれたアミノ酸は、必要に応じてそれぞれの組織にあったたんぱく質となり、筋肉、爪、髪の毛、エネルギー源などとして使われていきます。
各組織のたんぱく質は、古くなるとアミノ酸に分解され、血液中に出されます。そのうち75~80%は肝臓でまた新しいアミノ酸となりますが、それ以外はさらに分解されて水とアンモニアになり、腎臓へと運ばれたのち、尿中に排泄されます。[※5]
筋肉を増強したい人、運動後の疲労感、筋肉痛を緩和したい人、美髪、美肌など美容が気になる人、風邪予防など免疫力を高めたい人などに向いています。
また成長期のお子さんや食事量の減少を補うため、効率よくたんぱく質が摂取させたい高齢者など、様々なシーンで活躍します。
日本人の食事摂取基準2015によると、成人男性(18歳以上)のたんぱく質の推奨量は60g/日、成人女性(18歳以上)は50g/日とされています。
とくに上限量は特に設定されていません。
またプロテインは一度に摂っても、余分なものは排出されるか体脂肪となって蓄積されてしまうので、ご自分の食事状況や生活スタイルに合わせて利用しましょう。
たんぱく質の必要量は一般人1g/kgに対し、アスリートや運動習慣のあるひとの場合には1.2〜2、0g/kgのプロテインが必要です。食事だけでは必要量が補いきれないので、プロテインを利用することで、良質なたんぱく質が効率よく摂取でき、体づくりに合わせて選ぶことができます。[※7] [※12]
Meijiと豊田市足助病院の共同研究において、軽運動と合わせてミルクプロテイン の摂取により、血清アルブミン濃度が上昇したことが報告されています。[※13]
70歳以上の男性49名を対象に、プロテイン群摂取とプラセボ群とわけ、6週間摂取(この間運動プログラムは実施しなかった)、その後、摂取に加え、週2回の筋力トレーニングと週1回の高強度のインターバルトレーニングを12週間続けました。
その結果、最初の6週間で、プロテイン群は、除脂肪体重が700g増加、さらに運動療法後、プロテイン群は、プラセボ群に比べ、筋力が増加したという結果が報告されました。[※14]
健康な男性23名を対象として、8週間の筋力トレーニングを行いながら、一般的なホエイプロテイン、または「必須アミノ酸・ホエイプロテイン混合物」を毎日摂取し、体重、筋肉量(除脂肪体重)、および脂肪量の測定。
その結果、「必須アミノ酸エイプロテイン混合物」の摂取により、ホエイプロテインと同等の筋肉量の増加、筋力においても、同等に向上する効果、脂肪量の減少が確認されました。
さらに睡眠前にたんぱく質を摂取することにより運動トレーニングに対して、筋肉が増強することがわかっています。
睡眠前に摂取したたんぱく質は、効果的に消化吸収され、それによって、筋タンパク質の合成速度を刺激することがわかりました。[※15]
日本水産株式会社の生活機能科学研究所では、スケソウダラのすじたんぱくしつたんぱく質の筋肉増加効果について、2009年より愛媛大学、ほか7つの大学、研究機関と研究を行いました。
スケソウダラのたんぱく質がラットの試験において、筋肉内の瞬発力を司る「速筋」を増やす効果があることを発見し、2017年日本アミノ酸学会にて発表しました。[※16]
紀元前5、4世紀には、戦士たちが、動物の内臓や心臓を食べることで、闘争心を上げ、体力を高めると信じられていました。
科学的に考えられたスポーツサプリメントとしての歴史は、20世紀に入ってからです。スポーツに対して、筋肉の働きや、栄養素の重要性、役割が明確なってから考えられました。
日本では、1997年健康体力研究所(Kentai)
、1980年明治製菓(Zavas)、1983年森永製菓(Weider)などがスポーツサプリメント市場を形成しています。[※6]
ホエイプロテインの身体組成に対する新しい研究結果が、THE Journal of American College of Nutrition 2014年4月号に発表されました。
研究代表者であるドミニク・D・アレクサンダー博士は、
「ホエイプロテインが体重管理や除脂肪体重に及ぼす効果を裏付ける研究が年々増えています。今回のメタ研究によって、個々の研究成果を収集・統合し、統計的方法を用いて評価することが可能になりました。今回のメタ解析の結果は、除脂肪体重の増加や体重の維持、もしくは減量において、ホエイプロテインは、他のタンパク質源や炭水化物よりも効果的であることを示しています」
と述べています。
このようなことから、さらにプロテインについては、研究が進んでいくと考えられます。[※17]
肉・魚・卵・乳製品の動物性食品や大豆製品・穀類などの植物性食品です。動物性食品はアミノ酸スコアが100のため良質のたんぱく質となり、植物性食品よりも栄養価が高いといえます。
アミノ酸スコアとは、食品中の必須アミノ酸の含有比率を評価するための数値です。アミノ酸スコアが高いものとして、以下のようなものがあります。
豚ヒレ肉 100 鶏卵 100 鶏胸肉 100 納豆 100
精白米 65食パン 44
プロテインのみを摂取しただけでは、筋肉や皮膚など体の組織には変われません。プロテインを筋肉にするためにはエネルギーが必要となるため、糖質が必要です。
またトレーニング後、保水力があり、筋肉の粘度を高めてくれるビタミンCも重要です。さらにビタミンCは腱や靭帯などを構成するコラーゲンの合成を促してくれます。
プロテインの摂取のタイミングは、運動後45分以内に摂取することが良いとされます。運動後、45分以内であれば、筋肉へのアミノ酸輸送量が3倍にアップするというデータもあります。[※12]
そのほか、プロテインの摂取量が増えると、カルシウムの要求量が増加します。カルシウムが不足していると骨からカルシウムが溶けだして、血液中に流れだし、骨密度が低下してしまいます。[※9]
たんぱく質をアミノ酸に分解すると窒素が産生されます。窒素は肝臓で処理され、腎臓から排泄するので、必要以上に摂取することは肝臓や腎臓に負担に負担がかかってしまいます。[※10]
特に慢性腎臓病などの腎疾患の疑いがある場合は、食事療法でたんぱく質制限をされる場合がありますので、かかりつけ医に相談するようにしましょう。