身体の機能や維持の調節に必要不可欠な微量元素
ミネラルはたんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミンと並ぶ五大栄養素のひとつです。五大栄養素のうち、たんぱく質、脂質、炭水化物は三大栄養素と言われており、身体を作る材料やエネルギー源となります。ビタミンやミネラルは三大栄養素のように直接エネルギー源になることはありませんが、身体の機能維持や調整を行う大事な役割を担っています(ミネラルとビタミン)。
しかし、私たちの体内では合成されないため、食品から摂取する必要があります。ヒトの身体に含まれる100種類以上ある元素のなかで、酸素(O)、炭素(C)、水素(H)、窒素(N)、の4種類の元素が約96%を占めており、主要元素と呼ばれています。ミネラルはもともと鉱物という意味ですが、上記の主要元素を除く4%の元素のことをミネラル(または無機質)と呼んでいます。ミネラルは食品を焼いた後に残った灰の中に多く含まれているということもあり、灰分とも呼ばれています。
よく聞くミネラルとしてはカルシウム、マグネシウム、鉄、カリウム、ナトリウムなどがありますが、日本人に不足がちなミネラルは骨や歯の構成成分でもあるカルシウムです。また、マグネシウムも不足しやすいミネラルのひとつです。そのほかには月経のある女性に不足しがちな鉄、高血圧予防に摂取したいのがカリウムです(ミネラルの摂取量)。逆に過剰気味なのは高血圧の原因ともなるナトリウムです(ミネラルの副作用)。
ミネラルは多機能
ヒトの身体に存在するミネラルは大きく分けて3つの形で存在し、重要な機能を果たしています(ミネラルの働き)。
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- 身体の材料として働く
- 骨や歯などの構成成分となる。(カルシウム、リン、マグネシウムなど)
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- イオンとして体内に存在し、身体の機能調節や維持を行う
- 1) 浸透圧の調節、水分の平衡の維持、酸・アルカリの平衡の維持に働く。(ナトリウム、カリウム、塩素、カルシウム、リンなど)
- 2) 筋収縮や神経の伝達に関与する。(カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムなど)
- 3) 酵素の活性化に関与する。(カルシウム、マグネシウム、マンガンなど)
- 4) 血液の凝固に関与する。(カルシウムなど)
- 5) 脳の活性化に関与する。(カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リンなど)
- 6) 精神の安定に関与する。(カルシウム、カリウムなど)
- 7) 細胞の修復に関与する。(亜鉛など)
- 8) その他
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- タンパク質などの有機化合物と結合して働く
- 酵素・・・マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛、鉄、セレンなど
- ビタミンB12・・・コバルト
- 甲状腺ホルモン(チロキシン)・・・ヨウ素
- ヘモグロビン・・・鉄
豊橋市民病院や名古屋大学医学部付属病院 腫瘍外科(第一外科)、国立がん研究センター中央病院 外科などで、3000人以上の消化器系の疾患(主に腫瘍)の患者さんに対して、外科医として治療に携わってきました。 現在は、ナチュラルクリニック代々木で、サプリメントを併用した食生活改善の指導を行っています。