疲労回復効果やデトックス効果、美肌効果などうれしい効果がたくさんあるリンゴ酸。日常的に摂取することが望ましいとされます。
相乗効果のある栄養素と一緒に摂取するのもおすすめです。ここではリンゴ酸の効果・効能やそのメカニズムについて詳しく解説します。
リンゴ酸は名称からも分かるように、リンゴに含まれる有機酸です。リンゴだけではなく、ブドウやバナナ、梨などにも含まれている成分ですが、リンゴから発見されたため、リンゴ酸と呼ばれています。
有機酸とは果実などに多く含まれている有機化合物の総称で、人の体に取り込まれると悪玉菌の増殖を防ぎ、腸内環境をよくする働きがあります。
有機酸の中でも、クエン酸や乳酸などは、よく知られています。無機酸と比べると安全で、食品添加物として使用されているものも多いです。中でもリンゴ酸は体内に蓄積された乳酸を分解するため、疲労回復効果があると言われています。
リンゴ酸は酸味料をはじめ、乳化剤やpH調整剤などとして、マヨネーズやジュースなどに使われています。ただし、過剰摂取は口内炎などの副作用が出ることがあるため、注意が必要です。
リンゴ酸の効果として知られるのは、疲労回復効果です。疲労物質として知られる乳酸の分解を速め、疲れを取ってくれるのです。また、血糖値を下げる効果や、炎症を抑える効果、食欲増進効果も期待できると言われています。[※1]
リンゴ酸を摂取することで「クエン酸サイクル」がスムーズになり、キレイな血液を作ることもできるので、免疫力も高まります。腸内環境が整うことも、免疫力のアップにつながる理由です。デトックス効果もあり、体内をキレイにしてくれる作用もあります。
歯磨き粉の中に配合することで、ホワイトニング効果もあると言われ、他にもダメージを受けた髪の毛の空洞を埋めてくれる効果もあります。さらにリンゴ酸、クエン酸、カルシウムを組みあわせたクエン酸リンゴ酸カルシウムは、カルシウムの吸収を高めてくれる成分です。
リンゴ酸が疲労回復になる仕組みには、クエン酸サイクルが関係しています。クエン酸サイクルというのは、食べ物を摂取すると、体内では最終的にクエン酸になる仕組みのことを言います。その過程で、エネルギーを産生し、体を動かす原動力となるのです。
しかし、偏食やストレス、激しい運動などを続けると、クエン酸サイクルがスムーズに回らず、体の中に乳酸やピルビン酸などが増えていきます。これらは疲労の原因となるものです。
そこで、クエン酸を摂取することが必要となるわけです。リンゴ酸にはこのクエン酸と同じような働きがあるのです。また、リンゴ酸には、炎症を抑える働きがあり、胃腸の調子を整える作用もあると言われています。[※2]
クエン酸サイクルではさまざまな酸を作り、エネルギーに変換していきます。このような働きは、疲労回復だけではなく、筋肉を動かし、体を健康にしてくれる作用もあります。さらに、体内をアルカリ性に保つことで、新陳代謝を促すので、エイジング対策にも必須です。
リンゴ酸には歯の黄ばみや汚れを落とすという効果もあります。リンゴ酸は色素の濃い飲み物や食べ物による色素を、自然と落としてくれるのです。色素沈着による黄ばみや汚れを浮き上がらせ、無理なく落とすため、歯に対するダメージも少ないので、歯磨き粉に含まれているものもあります。
さらに、リンゴ酸はキレート性を持っています。そのため金属を洗浄する作用があります。体内の重金属が気になる人にもキレート作用は大切なので、意識的にリンゴ酸を採れるよう心がけるのも良いでしょう。
化粧品などにリンゴ酸が配合されているケースがありますが、これはリンゴ酸を入れることで、化粧品の変色などを防ぐためです。化粧品には、カルシウムがマグネシウムなどの金属イオンが含まれているため、化粧品を酸化させたり、雑菌が繁殖する原因にもつながります。
キレート作用のあるリンゴ酸は、金属イオンの作用を抑え、酸化したり、雑菌を増やしたりするのを防ぐ働きがあります。
疲労回復効果が期待できるリンゴ酸は、体が疲れやすい人におすすめの成分です。激しい運動をすると、乳酸が蓄積されますので、運動後はリンゴ酸を摂るといいでしょう。筋肉疲労が早く改善されます。
また、リンゴ酸には口腔内の黄ばみを摂る効果も期待できます。色素の濃い紅茶やコーヒーなどを多く摂る人は、リンゴ酸を摂取することで白くキレイな歯をキープすることができるでしょう。タバコのヤニや黄ばみが気になるのであれば、リンゴ酸が含まれた歯磨き粉を選んでみるのもひとつです。
そのほか、胃腸の弱い人にもおすすめです。リンゴ酸は体の中を弱アルカリ性に保つことにも役立ちます。弱アルカリ性にキープすることは、自然治癒力を高め、胃腸を健康にすることにつながります。
風邪をひいたときにも良いでしょう。リンゴ酸には炎症を抑える働きがあるため、喉の痛みや関節の痛みを和らげるのに役立ちます。体内をアルカリ性に保つことで新陳代謝が活発になるので、美肌効果も期待できます。
肌荒れを気にしている人も、普段の食事で、リンゴ酸を意識して摂るといいでしょう。
リンゴ酸の摂取目安量は特に定められていませんが、過剰に摂取すると口内炎を発症する可能性などが報告されています。目安としては一日1,200mgまでと言われています。[※3]
とはいえ、果物の摂取量は減少傾向にあると言われる日本人ですから、りんごも含め、1日1日350gの野菜と200gの果物をできる限り摂取する努力をしましょう。
リンゴ酸は、皮膚の古い角質を、新陳代謝させるピーリング剤などにも利用されている成分ですが、その安全性を調査する試験を行ったところ、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどなく、pH調整剤として使用する場合でも、皮膚への刺激はほとんどないという結果があります。 [※4]。
リンゴ酸は化粧品などにも利用されている成分ですが、このような結果からも、肌への良い影響が分かります。
リンゴ酸が発見されたのは1785年。リンゴジュースから発見されました。リンゴは世界でも歴史が古く、トルコでは8000年前から、ローマ時代にはすでにリンゴがあったと言われています。
日本においては、中国から入ってきたのが平安時代です。リンゴの栽培が最初に行われたのは北海道だったとも言われています。品種改良も頻繁に行われ、現在では200種以上があります。[※1]
リンゴ酸に優れた効果があることはこれまで述べてきたとおりですが、リンゴそのものにもさまざまな栄養素が豊富に含まれています。
リンゴを丸ごと食べる事で、リンゴ酸以外の栄養素も摂取できるので、リンゴ酸にこだわらず、リンゴを食べると良いでしょう。
リンゴ酸の美容や健康に関する効果は、多くの医師や専門家がコメントしています。栄養管理士の北川みゆき氏は次のように言っています。
「リンゴの酸味にもなるクエン酸とリンゴ酸と呼ばれる成分。いずれも疲労を回復させる作用があるのです。通常、食べ物に含まれている栄養素は、体内に取り込まれるとさまざまな酸に変化しながら最終的にクエン酸へと変化していきます。
これは「クエン酸回路」とも呼ばれ、分解の過程でエネルギーを作りだし、私たちの体を動かすメカニズムにもなっています。
クエン酸回路は、ストレスや食生活の乱れ、激しい運動などによってスムーズにいかなくなり、体の中に疲労の元となる乳酸やピルビン酸などがどんどん蓄積されてしまいます。
そこでクエン酸を摂取することで、疲労の回復効果が期待できるというわけです。」[※2]疲労回復をしたいなら、リンゴ酸を含む食べ物を習慣的に食べるといいことが分かるでしょう。
リンゴ酸はリンゴにはもちろん、バナナやブドウ、梨、サクランボ、グァバ、イチゴ、ザクロなどの果実にも多く含まれています。
果実のほかには、トマトや梅にも含まれています。梅干しを1日1個食べるといいと言われるのは、リンゴ酸やクエン酸が豊富なためです。夏バテ予防にもなります。また、リンゴ酸には胃の粘膜の炎症を抑える作用もあります。
酸味のあるリンゴ酸は、ドリンクや食料品に使われることも多いです。ジュースやゼリー、またマヨネーズなどの酸味として配合されていることもあります。
リンゴ酸はビタミンB群と相性がよく、一緒に摂取することでより高い効果が期待できると言われています。ビタミンB群を多く含む食品には、マグロ、カツオ、豚肉、卵、乳製品、豆類などがあります。これらの食品をバランスよく食べるようにしましょう。
また、リンゴ酸は油との相性もよいとされています。煮込み料理や豚肉を、リンゴ酸を含むトマトなどと一緒に、オリーブオイルなどを使って炒めるものもおすすめです。美容効果も期待できるでしょう。
リンゴ酸を利用したリンゴ酢なども健康効果が高いと言われています。クエン酸やビタミン、ミネラルを一緒に配合し、血糖値を下げたり、美肌効果を高めたりするとして、人気があります。酸味が強い酢ですが、リンゴ酢は飲みやすい点も魅力でしょう。
原液で飲むと胃に負担がかかるため、お水やお湯で割って飲むのが一般的ですが、酸味が苦手な人ははちみつを入れる、牛乳で割るなどの方法もおすすめです。
リンゴ酸は体に安全な成分とされていますが、過剰に摂取すると副作用を引き起こします。リンゴ酸は酸の一つなので、量や時間に注意が必要です。口の中に長時間入れておくと、酸は皮膚や歯を溶かしてしまいます。
その結果、口内炎や歯のエナメル質を溶かしてしまうのです。歯のエナメル質が溶けると、虫歯になりやすく、冷たいものがしみやすくなります。リンゴ酸を含むジュースやワイン、スポーツドリンクなどの飲みすぎには注意したほうがよいでしょう。
対策としては、飲み物などは長い時間口の中に入れておかないこと。また、水やお茶などを多めに飲むことで、酸を薄めることができます。
また、スキンケアなどの化粧品にも使用されているリンゴ酸ですが、皮膚への影響も気になるところです。pH調整剤として活用されているリンゴ酸は、微量であれや皮膚への刺激や毒性はほとんどないとされています。アレルギーの心配もないでしょう。ただし、量によっては、眼に刺激を与えるリスクもあると言われています。[※4]
ピーリング剤は配合量が多く、肌への刺激になる可能性があるため、濃度には注意が必要です。特に肌の弱い人は、注意して選ぶか、パッチテストを行ってから使うことをおすすめします。