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発芽玄米の効果とその作用

不溶性食物繊維を多く含み、アンチエイジングやダイエット効果などが期待される発芽玄米。低GI食品で話題のGABAまで含んだ、健康フードとして注目されています。発芽玄米を摂取ことにより、体内で起こる効能や作用について詳しく解説します。

不溶性食物繊維とはどのような成分か

不溶性食物繊維は、食物繊維の中でも、水に溶けにくい特性を持った成分です。穀類や野菜、豆類やキノコ類、果実や海藻、エビやカニなどの甲殻類の殻に多く含まれています。

主に、糸状のへちまのような形状やハチの巣のような多孔質な形状の繊維構造で、噛み応えがある独特のボソボソ・ザラザラとした食感が特徴です。

保水性に優れているため、胃や腸の中で水分を吸収して膨らみ、腸を活発にして便通を促進します。また、大腸内で分解されるとビフィズス菌が増殖して、腸内環境を整えてくれます。[※4]

発芽玄米の効果・効能

健康や美容に効果がある発芽玄米。以下のような効能があります。

■血糖値の上昇を抑える

発芽玄米はGI値が低く、食物繊維を多く含んでいます。食物繊維は食後の血糖値の急激な上昇を抑え、効率の良い糖の代謝を促進します。

■アンチエイジング効果

血糖値の急な上昇を抑えることができる発芽玄米。血糖値がゆるやかに上昇すると、細胞膜への炎症が原因で起こる老化を防いでくれるため、アンチエイジング効果が期待できます。

また、発芽玄米はコラーゲンの生成を助ける成分を多く含んでいるため、美肌効果も期待されています。

■便通の促進

発芽玄米には、白米の6倍もの不溶性食物繊維が含まれています。吸水性の高い不溶性食物繊維は、腸内を程よく刺激し、腸の動きを活発にすることで便通を促進します。さらに、腸内で膨らむことで満腹中枢を刺激し、食べ過ぎも防いでくれます。

■脂肪燃焼効果

低GI食品である発芽玄米は、食事中の中性脂肪の吸収を阻害し、カロリーをカットする効果があります。そのため、お腹についた脂肪を燃焼させやすくなり、ウエストサイズのダウンが期待できます。

■日々のストレスを軽減する

発芽玄米には白米の約4倍のGABA(ギャバ)が含まれています。GABAにはストレスにより発生するアンモニアをグルタミン酸に変えて脳機能の動きを活発にする働きがあり、ストレスやイライラを軽減させる効果があります。[※1]

どのような作用(作用機序・メカニズム)があるか

発芽玄米はよく噛むことによって満腹中枢を刺激し、食べ過ぎを防ぎます。よく租借された発芽玄米は、消化酵素で消化されることなく小腸を通り、大腸まで届いて腸内の水分を吸収することで膨らます。

膨らんだ発芽玄米は便の体積を増やし、腸のぜん動運動を促して便秘症を改善します。それにより、体内で主にコレステロールから作られる胆汁酸も便と一緒に排泄されることで、血中コレステロール値を下げる働きがあります。

脂質や糖やナトリウムなども吸着するので、これらの摂り過ぎが起因となる、脂質異常症・高血圧症といった生活習慣病の改善にも効果的です。

食物繊維は、小腸で吸収される一般的な栄養素とは異なり、大腸内のビフィズス菌や乳酸菌といった腸内細菌に利用されることで腸の働きの正常化を促します。

また、それらの菌の割合を増やすことで、腸内での発がん物質の生成を抑える効果も期待されます。

食後の糖の吸収を抑えることで、血糖値の急激な上昇も防ぎ、インシュリンの分泌を減らして糖尿病の予防にもつながります。[※1][※2]

どのような人が摂るべきか、使うべきか

玄米は成人病抑制効果や腸内環境調整効果が期待される食品のため、万人に適した食材と言えます。

咀嚼することで脳を刺激しつつ、ビタミンEやミネラルを豊富に摂取することで肌の新陳代謝を助けるため、年齢を重ねた世代は特に摂取したい食品です。

噛み応えのある食物繊維を摂取することで自然と噛む習慣が身につき、脳の発達やあごの発達を促すことから、成長期の子供にも最適の食品です。

また、玄米は外皮が硬いため、胃酸が少なくなった高齢者には適さないという声もありますが、発芽玄米は芽を出したことによって外皮が柔らかくなっており、高齢者でも安心して摂取できます。[※1]

発芽玄米の摂取目安量・上限摂取量

2015年度版日本人の食事摂取基準に基づく食物繊維の一日の摂取目安量は、18~60歳の男性は20g以上、女性は18g以上。玄米に100gあたりに含まれる不溶性食物繊維は約3gなので、1日にお茶碗3~4杯が摂取目安となります。

ただし、発芽玄米にはカルシウムの吸収を阻害するリンが多く含まれています。リンの1日の耐容上限量は、18歳以上の男女で共に3000mg。玄米に含まれるリンは100gあたり約290mgなので、食べ過ぎなければ問題はありません。

ただし、リンは食品添加物や加工食品にも多く含まれているため、過剰に摂取しないように注意が必要です。[※2][※6][※7]

アンチエイジング効果のエビデンス(科学的根拠)

発芽玄米にはたくさんのビタミンが含まれています。特に肌や髪、爪などの健康を維持するのに必要なビタミンB群は肌の生成を助け、美肌効果があります。

また、老化の原因とも言われる活性酸素に対して中和をしてくれる効果があるビタミンEも豊富に含んでいます。ビタミン類以外の成分として、カリウムやマグネシウムなどのミネラルは、体の中の余分な脂肪や塩分を排出させるため、浮腫の解消にもつながります。

また、発芽玄米に多く含まれるGABAは、肌への効果や、不要な栄養素の排出により、ストレス軽減やアンチエイジング効果が報告されています。[※1]

研究のきっかけ(歴史・背景)

古代ギリシャの時代より、小麦ふすまなどに含まれる食物繊維は便通に良いことが知られていました。

しかし、食物繊維そのものは食感も悪く栄養にならない上、摂取方法によっては必要な栄養素の吸収を阻害することもありました。

そのため人々は、柔らかく消化吸収の良い食事を摂るようになりました。

1930年頃、英国医師ヒップスレーによって食物繊維が便秘や大腸炎に効果があることが発表され、初めてダイエタリーファイバーという言葉が用いられました。

アメリカでは、ケロッグ社により、食物繊維を含んだコーンフレークの開発が始まりました。

その後も研究は進み、食物繊維を摂取すると、心臓疾患や動脈硬化症のような病気の発症を抑えることや、大腸がんのリスクを低下させることがわかりました。

現代では第6の栄養素とも言われ特定保健用食品に添加されるなど積極的に摂りいれることが推奨されています。

専門家の見解(監修者のコメント)

信州大学農学部特任教授で発芽玄米を含む発芽食品の研究者である茅原紘先生は、発芽玄米の研究下で、次のように述べています。

昭和17年に発行された「医界週報」(ドーマー(株)塚原菊一社長が入手)という医学専門誌に掲載された伝染病研究所からの「玄米主食化が農村民の生活に及ぼした影響について」という報告は、集団的玄米食化を試みた山形県北村山郡小田島村大字野田字北部落(当時)における27家族186名の生活調査結果である。

結論のみを引用すると、①仕事の耐久力の向上率は全数の44%で認められ、耐久力を保持するものは100%、②田植え時の突き指、稲刈り時の手首の関節炎が完全に止まった、③医療費は白米時代の17分の1に激減、④流行性感冒に罹りにくくなった者97%、常習性下痢は100%改善、⑤女性の生理が順調、不妊解消例も発生である。この報告例は玄米食がいかに優れた食材であるかを実証している。

また、発芽玄米の特徴として、以下のように述べています。

発芽玄米の特徴としては、①玄米にもともと含まれている優れた成分が軒並み増加する(とくにギャバ)、②玄米に含まれていても、ブロックされていて、すぐには効果が発揮できにくい成分(たとえば、ミネラルとフィチン酸の関係)が酵素の作用を受けてブロックがはずれ、本来の生理活性を発揮する、③玄米にはほとんど含まれていない成分が増加する(たとえば、アルツハイマー型認知症の予防・改善が期待される成分)[※8][※9]

食物繊維を多く含む食べ物

食物繊維は、植物性食品に多く含まれており、魚介類や肉類といった動物性食品にはほとんど含まれていません。

植物性食品では主に、野菜や果実類、豆類やきのこ類、藻類などに多く含まれます。特に、さつまいも、かぼちゃ、こぼう、ブロッコリー、しいたけのような野菜や、ひじき、おから、糸ひき納豆にも多く含まれているため、発芽玄米と合わせてこれらの野菜を副菜として取り入れることで、効率的に食物繊維を摂取することができます。[※5]

相乗効果を発揮する成分

食物繊維には、水溶性と不溶性の2種類が存在します。

両者を組み合わせることで、より整腸効果やデトックス効果が高まります。水溶性食物繊維は、きのこやゴボウ、ドライフルーツなどに多く含まれています。[※5]

また、発芽玄米は大腸で水分を吸収しやすいので、十分な水分と一緒に摂取すると、さらなる整腸効果が得られます。

発芽玄米の副作用

多くの有効なミネラルを含む発芽玄米は、その中でもリンを豊富に含んでいます。リンは欠乏すると、脱力や筋力の低下、溶血といった重篤な症状を引き起こしますが、摂りすぎてしまうと、カルシウムの吸収を阻害します。

特にリン酸塩という形で食品添加物として加工食品にも多く利用されているため、過剰摂取に注意が必要です。[※7]