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ギムネマの効果とその作用

ギムネマは甘味をカットするはたらきから、ダイエットに効果がある植物として知られています。血糖値や中性脂肪を抑制するという研究結果が出ているため、ギムネマを使った機能性表示食品も発売されています。

そんなギムネマの効果・効能や副作用などについて詳しく説明していきます。

ギムネマとはどのような植物か

ギムネマはガガイモ科の多年草で、つるを延ばし3m~4mほどまで成長する植物です。葉は、卵のような楕円形をしていて、向かい合って2枚生えます。

正式名称はギムネマ・シルベスタとなっており、日本でのギムネマという呼び名は、いわば略称です。

中国では、匙羹藤(しゃかとう)や武靴藤(ぶかとう)といわれ、葉を噛むと甘みを感じなくなることから、インドではグルマール(砂糖を壊すの意)と呼ばれています。

インドや台湾、中国南部に自生しており、古くから糖尿病の薬として利用されてきました。インドの伝統医学アーユルヴェーダでも、ギムネマが活用されてきました。

ギムネマのおもな成分はギムネマ酸です。ギムネマ酸は甘みを感じさせない性質を持っており、糖質カットにつながるとして研究が進められています。ダイエット用のサプリメントやお茶としてよく使われるのが特徴です。

ギムネマにはギムネマ酸以外にも、ギネムマシド・グルマリン・コンズリトール・ギムネマシン・ギムネマサポニンなどが含まれています。

ギムネマの効果・効能

ギムネマには以下のような効果・効能があります。[※1][※2]

■糖の吸収を抑える効果

ギムネマは糖の吸収を穏やかにすることでインスリンの分泌を抑え、血糖値の急な上昇を防ぐ効果があります。

■肥満予防

摂取した脂肪が体に蓄えられるのを抑制し、肥満やメタボリック症候群を予防します。

■腸のはたらきを整える効果

ギムネマは炭水化物を糖へ分解せずに排泄させる作用があります。腸を通る炭水化物の量を増やすことで、食物繊維のようなはたらきをさせ、腸の調子を整えます。

■ダイエット効果

甘味を感じさせなくするため、ギムネマを摂ったあとに甘いものを食べても美味しく感じません。そのため、甘いものへの欲求がなくなり、ダイエット効果が期待できます。

■虫歯の予防

ギムネマは虫歯の原因菌が出す酵素のはたらきを阻害して歯垢をできにくくし、虫歯を予防します。

どのような作用(作用機序・メカニズム)があるか

ギムネマは含有しているギムネマ酸により、さまざまな効果をもたらしてくれます。[※2][※3][※4][※5]

ギムネマ酸は炭水化物が糖へ分解される仕組みと腸での糖吸収を阻害しています。

炭水化物はそのままでは分子量が大きいため、小さくしなければ体内へ吸収できません。炭水化物に分解酵素がはたらきかけることで小さく切り分けられ、糖へと分解されるのです。

ギムネマ酸は、酵素のはたらきを阻害して炭水化物を糖へと分解するはたらきを防ぎ、体内で糖類を吸収することなく、」炭水化物のまま体外へ排出する作用があります。

炭水化物がそのまま排出されると、糖が吸収されず血糖値が上がりにくくなる効果や、整腸作用が表れるといわれています。腸での糖吸収を抑える作用により、小腸を経路にグルコース(糖)を輸送する流れを阻害します。

糖を摂取しても、インスリン分泌されなければ体内に吸収されないのですが、ギムネマを摂取するとこのインスリンの上昇も抑制されます。インスリンの上昇が抑えられることで、体への糖の取り込み量が減り、ダイエットに良いとされています。

ギムネマ酸は、舌の甘みを感じる部分(甘味受容体)と結合して、甘味をブロックするはたらきがあります。これは、ギムネマ酸の分子がブドウ糖と似ていて、甘味受容体に結合しやすい形をしているため。そのため、甘いものを食べる前にギムネマを摂取すると、甘味を感じなくなるのです。

お菓子やフルーツなどの甘さ以外の味や食感は感じることができますが、甘味が消えて美味しさが減るので食欲が減退し、食事量が減少。このことから、ダイエット効果が期待できます。

また、ギムネマ酸は虫歯の原因のミュータンス菌が分泌する、グルコシルトランスフェラーゼという酵素のはたらきを阻害します。この酵素は、糖と水を反応させネバネバした液体をつくります。この液体が固まったものが、歯垢(プラーク)です。

プラークには細菌が密集しており、虫歯の原因となります。ギムネマ酸がプラークの形成を阻止することで、虫歯の予防になります。

どのような人が摂るべきか、使うべきか

ギムネマは以下のような人におすすめです。

  • 血糖値が気になる人
  • 肥満を予防したい人
  • 便秘気味の人
  • 虫歯を予防したい人

ギムネマの摂取目安量・上限摂取量

ギムネマには摂取量の目安や上限は設けられていません。お茶やサプリメントとして摂取する場合は、製品ごとの用法容量を守って使用してください。

自宅でギムネマを栽培してお茶を手作りする場合は、濃さや飲む量に注意しましょう。

ある試験では、成人13名に0.5g(500mg)のギムネマを服用させたところ、12名が胃の不快感や吐き気を訴えたため、2回目の服用を拒んだという事例があります。つまり、1回の摂取で0.5g以上のギムネマを摂取すると、体調不良をまねくおそれがあるのです。

一例ですが、ギムネマ酸配合の機能性表示食品(サプリメント)の1日のギムネマ酸摂取量は9.4mgとなっています。

ギムネマのエビデンス(科学的根拠)

ファンケルがダイエット補助食品を開発するときに行った、ギムネマ酸配合のサプリメントの実験をみてみましょう。[※6]

1つめの検証試験は、食後血糖値の上昇を抑えるはたらきについてです。

30~59歳の健康な男女を、ギムネマ酸配合サプリメントを飲むグループと、偽薬(プラセボ)を飲むグループの2つに分け、食後の血糖値の上昇を比較しました。摂取量はサプリメント・偽薬ともに4粒。食事は2回行われ、食前と食後の血糖値を計測しました。1回目と2回目の測定の間は4日間の時間をあけて行われています。

試験の結果、ギムネマ酸配合のサプリメントを飲んでから食事をしたグループの方が、食後の血糖値の上昇が緩やかでした。特に食後30分ほどの時間帯で、血糖値の差が大きく表れました。このことから、ギムネマ酸には血糖値の上昇を抑える効果があるといえます。

2つめの検証試験は、食後の中性脂肪量の比較です。空腹時の中性脂肪値が正常または高めの男女24~64歳を対象に、ギムネマ酸入りサプリメントを飲むグループと偽薬(プラセボ)を飲むグループの2つに分けて実験が行われました。

摂取量はサプリメント・偽薬ともに4粒を摂取。食事は2回行われ、食前と食後6時間までの血中脂肪値を計測しました。1回目と2回目の測定の間は1週間の時間をあけて行われています。

対象者には食事の前にサプリメントを水で飲み、脂肪分の多い食事を摂取してもらったのち、食後の血中中性脂肪の値を測定。

すると、ギムネマ酸入りサプリメントを摂取していたグループの中性脂肪量は、偽薬のグループに比べて少ない結果となりました。このことから、ギムネマ酸には中性脂肪の吸収を抑える効果があるといえます。

神奈川歯科大学にて波多野博行教授がギムネマ酸の虫歯菌に対する実験を行いました。ギムネマ・シルベスタの乾燥葉を煮だしてガーゼでろ過。その後、ろ過液を遠心分離機にかけ、沈殿物を取り除きギムネマ酸抽出物を作成しました。

虫歯菌が歯垢を作る際には、グルコシルトランスフェラーゼという酵素を分泌し、それに糖が反応すると歯垢が作られます。

波多野教授は、酵素と糖が反応するときに抽出したギムネマ酸を加え、ギムネマ酸が酵素の反応を阻害し、歯垢の生成を阻止したことを確かめました。[※7]

歯垢は虫歯菌や歯周病菌が密集しており、虫歯の原因になります。実験の結果から、ギムネマには虫歯予防効果があるといえるでしょう。

研究のきっかけ(歴史・背景)

ギムネマはインドにおいて糖尿病の予防薬として用いられてきました。インド伝統医学のアーユルヴェーダでも使われている植物です。

糖尿病の予防以外にも、胃腸障害や肝臓病、便秘、胸水などの治療に用いられてきました。

19世紀なかばに、ギムネマはイギリスに持ち込まれています。イギリスでは甘味をブロックする作用に注目が集まり、研究が開始されました。

1930年にインドで糖尿病患者に対してギムネマの経口投与がされ、血糖値が正常化したという報告があります。その後、1980年代にも同様に糖尿病患者にたいしての試験が行われ、ギムネマの効果がより確かなものとして立証されるようになったのです。

研究が進むうち、ギムネマに含まれるギムネマ酸が糖の分解・吸収を阻害することや中性脂肪を抑えるはたらきが明らかになりました。

日本ではギムネマのこうした作用が、機能性関与成分として認められ、ダイエットサポート食品への利用と機能性の表示ができるようになっています。

専門家の見解(監修者のコメント)

鳥取大学医学部の井元敏明助教授はギムネマに対してさまざまな効果があることを示しながら、なぜギムネマの研究を進めたのかを以下のようにコメントしています。

「われわれが数ある配糖体の中でもギムネマ酸にこだわってきたのも、それがヒトの甘味感覚を麻痺させるというまさにわれわれの感覚に直に訴える劇的な作用があったからに他ならない」(井元敏明 「生体の糖受容 と植物配糖体ギムネマ酸」より引用)[※2]

ギムネマは、口にしてすぐに効果が感じられるという特徴があります。井元教授が研究を進めてきたのも、その作用にこだわったからだとのこと。その即効性が、古くからギムネマが人々に利用されてきた理由なのかもしれません。

自家製ギムネマ茶のつくりかた

ギムネマはサプリメントやお茶などにしたものが販売されていますが、栽培して自家製のお茶を作ることもできます。水1リットルに対して、大さじ半分の量の葉が目安です。

  1. ギムネマの葉を乾燥させる
  2. キレイに乾燥させるために軽くフライパンで乾煎りする
  3. 乾燥させた葉を水に入れて沸騰させ、弱火にする
  4. 弱火にして5分程煮だす

味は苦めなので、濃さを調節したり他のハーブティーや茶葉と合わせたりすると良いでしょう。

相乗効果を発揮する成分

ギムネマ茶に加えると、相乗効果が期待できるブレンドを紹介します。

■玄米茶やほうじ茶、麦茶、烏龍茶など

ギムネマ茶の苦味を抑えてくれるだけでなく、それぞれのお茶の持つ健康をサポートする効果が得られます。市販品にはこれらがブレンドされているものもあります。

■グァバや連銭草など

糖質カットの効果があるとされる茶葉とブレンドすることで、より糖分抑制効果をアップできます。

■サラシアやプーアルなど

脂肪を燃焼してくれるとされる茶葉とブレンドすると、ギムネマの中性脂肪抑制効果と合わせてダイエット効果が期待できます。

ギムネマの副作用

ギムネマは、適切に使用した場合、安全に摂取が可能なハーブとして、英国ハーブ製品協会に認定されています。[※8]

安全性は高いのですが、ギムネマには以下のような副作用が確認されています。

・膨満感、腹痛、下痢

胃や小腸で吸収されなかった炭水化物(糖)がゆっくりと排泄されるためではないかとされています。

・鉄分吸収の阻害

ギムネマは小腸での鉄分吸収を阻害します。貧血の人は摂取に注意が必要です。

・血糖値の低下

ギムネマには血糖値を下げる効果があるため、摂取により血糖値が下がりすぎるおそれがあります。

妊娠中の女性や子どもにとって糖質や鉄分は欠かせない栄養源です。そのため、なるべくギムネマは摂取しないほうが良いでしょう。

注意すべき相互作用

ギムネマには以下の薬品との相互作用が確認されています。[※8]

インスリンや糖尿病治療薬

ギムネマは血糖値を低下させるおそれがあるため、インスリンと併用すると血糖値が下がりすぎるリスクが高まります。糖尿病治療薬には、グリメピリド、グリベンクラミド、ピオグリタゾン塩酸塩などがあります。

他のハーブやサプリメント、健康食品との相互作用はまだ確認されていません。