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ビルベリーの効果とその作用

ブルーベリーの一種であるビルベリーはアントシアニンを豊富に含んでおり、昔から目に良い成分として研究が進められてきました。最近では目の健康の維持だけでなく、脳卒中や動脈硬化などの生活習慣病の予防にも効果がある成分として期待されています。ここでは、ビルベリーの効果・効能や摂取目安量、副作用、摂取方法などを解説していきます。

ビルベリーとはどのような成分か

ビルベリーは落葉性の低木で、ブルーベリーの一種です。約7㎜と小さな果実はやや黒っぽい青紫色で、強い酸味があるのが特徴です。果実をそのまま食べることは少なく、ジュースやジャムなどに加工して、整腸剤として食べられています。

北欧では昔から食用はもちろんのこと、医薬品として商品化されているほど健康効果があります。近年ではサプリメントの原料としても利用されるようになってきている注目の果実です。

ブルーベリーには6種類あり、生のまま食べたりジャムにして食べる品種とサプリメントに使われる品種は異なります。サプリメントの原料となるビルベリーは、ブルーベリーの中でも「アントシアニン」が最も多く含まれています。[※1]

ビルベリーの効果・効能

ビルベリーはブルーベリーの中でも「アントシアニン」が最も多く含まれているという特徴があります。

アントシアニンには、過剰に分泌された「活性酸素」の働きを抑制する効果があるといわれています。

毛細血管の保護や血管拡張、血液中の血小板凝固抑制作用などがあり、動脈硬化を防いだり、脳血管障害や虚血性心疾患などを予防する効果もあります。[※2]

日本では、ブルーベリーは目に良いものとして知られていますが、ビルベリーに含まれるアントシアニンには、網膜を含む血流を改善し、目の疲労を緩和する働きがあると言われています。[※3]

また、ビルベリーには水溶性食物繊維・不溶性食物繊維という2種類の食物繊維が豊富に含まれているので、腸内環境が改善し、便秘解消や大腸がんの予防という効果も期待できます。他にも、免疫機能の向上や肌荒れの予防にも効果があります。

一般的なビルベリーのアントシアニンの含有量は、ブルーベリーの含有量と比べると3~5倍も多く含まれています。

このことからわかるように、ビルベリーが北欧で医薬品として用いられているのは、ブルーベリーよりも高い効果が期待できるからだと考えてよいでしょう。

どのような作用(作用機序・メカニズム)があるか

目は網膜で光を感知することで脳に信号を送ります。これにはロドプシンというたんぱく質の働きが重要になりますが、アントシアニンにはロドプシンが活性酸素によって傷つくのを防いだり、体内で再び合成されるのを助ける作用があります。この働きにより、眼精疲労を緩和する効果が期待できます。

アントシアニンは試験管内においては一部のがん細胞やヘリコバクター・ピロリ菌の増殖を防ぐ作用があると報告されています。そのため、ヘリコバクターピロリ菌が原因となる胃潰瘍や炎症性疾患などを予防する効果が期待されています。

しかし、アントシアニンは吸収率が極めて低く、吸収後もすぐに尿として排出されてしまうため、アントシアニンの有用性が試験管内だけでなく人間の体内でも働きがあるのか、その結論を出すにはまだデータが不十分と言われています。[※4]

どのような人が摂るべきか、使うべきか

近年、ガンや脳卒中、糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病は大きな社会問題となっていますが、生活習慣病を放置しておくとあらゆる合併症に進展する可能性がありとても危険です。

生活習慣病の予防・改善のためには適度な運動や食事のバランスなどが大事ですが、アントシアニンの助けを借りることも有効です。

アントシアニンには「活性酸素」の働きを抑制する効果があり、そのアントシアニンをお豊富に含んでいるビルベリーは生活習慣病を予防したい人におすすめです。

また、パソコンやスマートフォンを毎日使用している人は多いと思いますが、目を酷使すると眼精疲労から頭痛や肩こりを引き起こし、それが原因で仕事や勉強に支障をきたすこともあります。

アントシアニンは目の疲れをやわらげてくれる効果があります。ビルベリーは目が疲れやすい人、目の健康を維持したい人にも向いています。

ビルベリーの摂取目安量・上限摂取量

5年毎に改定を行っている厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」には、アントシアニンの摂取量・目安量は記載されていません。[※5]

1日にこれくらいの量を摂取しなければならないというのは、特に決められていないと考えてよいでしょう。

アントシアニンは体内に入ると24時間以内に尿と一緒に排泄されるため、できるだけ毎日摂取したほうが良いと言われていますが、大量に摂取すると下痢や胸やけなど、体調を崩す恐れがあるので注意する必要があります。

ビルベリーのエビデンス(科学的根拠)

パソコンなどのVDT作業に従事し、眼精疲労の自覚を持つ20~60歳未満の日本人の成人男女30名に対し、ビルベリーエキス160 mg(ビルベリー由来アントシアニンとして59.2 mg)を28日間、毎日摂取させた結果、プラセボ摂取群と比較して、28日後のVDT作業の負荷およびVDT 作業負荷休息後で目の疲労感が軽減したというヒト臨床試験結果が発表されています。

また、VDT作業に従事し、眼精疲労を自覚してる20~60歳未満の日本人の成人男女24名に対し、ビルベリーエキス107 mgを4週間、毎日摂取させた試験も実施されました。

その結果、目の疲労感の自覚症状の評価において、プラセボ摂取群では特に有意な結果が示されなかったのに対し、ビルベリーエキスを摂取した群は目の疲労感が徐々に軽減することが示されました。[※6]

研究のきっかけ(歴史・背景)

ビルベリーに多く含まれるアントシアニンに関する研究は、第二次世界大戦中に、あるイギリス空軍のパイロットが薄明りの中でも物がはっきり見えると証言したことがきっかけで始まりました。

そのパイロットがビルベリーのジャムが大好きで毎日食べているということから、イタリアやフランスでブルーベリーの視力改善効果の研究が盛んに行われるようになりました。

その結果、ビルベリーに豊富に含まれるアントシアニンには、眼精疲労を回復させるなど、目の働きをよくする効果があることがわかり、注目されるようになりました。[※7]

専門家の見解(監修者のコメント)

最近では日本でも注目されているアントシアニンですが、岐阜薬科大学の原英彰副学長(薬効解析学研究室教授)は次のように話しています。

「人間の目の不調には、いろいろなファクターや原因があります。筋肉の疲れ、ドライアイ、あるいは老化もあります。目は脳の一部とも言われ、精神的な疲れも目にあらわれます。
アントシアニンの人の臨床試験はすでにいろいろとありますが、医薬品のような評価方法ではありません。
摂取後に目が楽になることはあるでしょうが、そこには主観が入りますし、個人差もあります」

一方で動物を使った実験結果については、このようにコメントしています。

「動物実験レベルでは有効性が実証されています。人の試験も、限られた条件ですが、効果が認められたとの報告もあります。人に効くと明確には言えませんが、総合的に見てポテンシャルはある、効果を期待できるのではないか、と言うことができます。研究者という立場から、慎重にお話をさせていただきました」
(産経ニュース『アントシアニンについて詳しく知る 岐阜薬科大・原英彰副学長に聞く』より引用)[※8]

ビルベリーを摂取するには

ビルベリーは柔らかくてつぶれやすく、果汁がでやすいため保存には向かないため、収穫してすぐの鮮度が高いうちに加工するのが良いでしょう。

ビルベリーはそのまま食べてもかまいませんが、甘みがほとんどなく酸味が強いため、生のまま食べる人はあまりいません。ヨーロッパではジュースやジャム、タルト、パイなどにして食べるのが一般的で、リキュール酒やワインなど、お酒にも使用しています。

最近では日本でも食べられるようになってきており、若い女性はパンやお菓子の材料として使うなど、さまざまなレシピが考案されています。

また、ビルベリーのサプリメントもあるので、日常生活の中でどなたでも簡単にビルベリーの成分を摂取できます。

相乗効果を発揮する成分

ヒアルロン酸は目の硝子体に含まれている保湿力の高い成分で、目の健康のために非常に重要なものですが、加齢によって減少します。

ビルベリーの成分とヒアルロン酸を同時に摂取することで、目の表面の角膜や硝子体を保護したり、目の疲労をやわらげるなどの効果があります。

また、目でしっかりと物を見るためには、ピント(焦点)を合わせることが必要になりますが、目のピント調整を行うのが目の奥にある「毛様体筋」という筋肉です。

この筋肉が凝り固まってしまうと焦点がうまく合わなくなってしまいますが、カシスに含まれるアントシアニンは血流を良くして凝りをほぐす働きがあります。[※7]

ビルベリーと一緒にカシスを摂取することで、両方のアントシアニンを摂ることができます。それによって目全体の健康を維持してくれるので、目の健康が気になる方にとって、ビルベリーとカシスの組み合わせは理想的なものと言えます。

ビルベリーの副作用

アントシアニンは果物や野菜にも含まれている成分ですので、基本的には安全で副作用の心配はありません。ビルベリーエキスとして大量に摂取した場合の副作用も報告されていません。[※5]

ただ、何かの薬やサプリメントと同時に摂取した場合、まれに吐き気や下痢、胸やけなどの副作用が出ることがあります。もし摂取後に異常や違和感を覚えたらサプリメントの服用をやめ、すぐに医療機関を受診しましょう。

小児の場合は、濃縮物(サプリメントなど)として摂取する際の安全性についての十分なデータは見当たりませんので、子供への服用に関して不安を感じる方は薬剤師などの専門家に相談すると良いでしょう。[※9]