アルファルファはハーブや食品として利用される物質で、ビタミンやミネラルなど豊富な栄養素を含んでいます。ここでは効果や効能を、科学的根拠である研究報告とともに掲載。アルファルファの体内での作用や摂取量などもまとめています。
アルファルファはマメ科ウマゴヤシ属の多年草で、別名ムラサキウマゴヤシと呼ばれる植物です。ペルシャ語で「最良の草」という意味を持つアルファルファですが、主に牧草として利用されています。
成長前のスプラウトは柔らかく甘みがあることから、食品としても広く使われるようになりました。特に健康志向の高い人には、毎日サラダなどで摂るべき野菜のひとつとして人気があります。
また、成長した葉は緑茶のような風味と草特有の香りから、ハーブとして利用されることもあります。[※1]
アルファルファは地下深くまで根を張るため、ほかの植物から摂取しにくい微量元素も含んでいます。たんぱく質やミネラルも豊富に入っているため、積極的に摂るべき野菜です。
アルファルファには次のような効果・効能があるといわれています。
■疲労回復効果
アルファルファにはミネラルやビタミン、アミノ酸が含まれており、疲労回復に役立つ効果が期待できます。
また、グリコーゲンを体内に蓄える効果を持つオクタコサノールが入っているため、疲労回復だけでなく体力増強の効果も得られるといわれています。 [※3][※5]
■コレステロールを下げる効果
高コレステロール血症の患者に加熱したアルファルファの種を8週間与えたところ、血清中の総コレステロールとLDLコレステロールが減少したことがわかっています。[※6]この結果から、アルファルファにはコレステロールを下げる効果があることがわかりました。
■骨粗しょう症の予防
アルファルファにはポリフェノールの一種であるイソフラボンが含まれています。エストロゲンは体内で女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをするため、エストロゲン不足で起こる骨密度の低下(骨粗しょう症)を防ぐことが可能。[※4]現在は、アルファルファを利用した骨粗しょう症の治療薬も開発されています。[※7]
また、アルファルファに含まれる成分には、以下の効果が期待できます。
■胃粘膜の保護
■デトックス効果
■抗酸化作用
■口臭・体臭予防
アルファルファを摂取すると、含有されているビタミンやミネラルが体内に吸収されます。抗酸化作用のあるビタミン類によって体内にある活性酸素を摂り除き、細胞にかかる負担を軽減。[※8]活性酸素が原因で起こる疲労から回復させることができるとされています。
また、アルファルファに含まれるオクタコサノールは体内でグリコーゲンの蓄積に関わっており、蓄積量を増やす効果が示唆されています。筋肉内にある筋グリコーゲンは運動によって消費されるので、グリコーゲンの蓄積量を増やすことで回復。そのため、疲労回復の効果が期待できます。[※5]
また、アルファルファには女性ホルモンのエストロゲンとよく似た構造のイソフラボンが含まれています。イソフラボンは腸から吸収されて体内でホルモン様物質として働き、骨の代謝調節や更年期障害の抑制に役立ちます。[※4]
その結果、骨からカルシウムが溶け出るのを防ぎ、結果的に骨粗しょう症を予防することができます。ただし、イソフラボンは数日で排出されてしまうため、定期的に補給する必要があります。
コレステロールを低下させる作用があることから、脂肪の多い食事を頻繁に摂る人や、生活習慣が乱れがちな人が摂るべき成分といえます。アルファルファを継続して摂取することで血中コレステロールを減らす効果が期待できるので、サラダなどで毎日の食事に取り入れるとよいでしょう。
また、エストロゲン様物質を含む[※4]ため、エストロゲン不足で起こる更年期障害にも効果的。不定愁訴や骨粗しょう症で悩んでいる方はアルファルファを使ってみてください。
アルファルファは食品として扱われているため、摂取量は定められていません。ただし、植物アレルギーの方は全身性紅斑性狼瘡(ぜんしんせいこうはんせいろうそう)が起こる可能性が高いので、摂取量には注意が必要です。[※9]
また、多量摂取すると含有しているクロロフィルによって光過敏症を引き起こすことがあります。効果を期待してたくさん食べるのではなく、含まれている成分を確認して必要な量だけ摂取しましょう。
アルファルファは漢方薬として使用されてきた実績から、効果についてさまざまな研究が進んでいます。
Malinow MRらはアルファルファに含まれるサポニンをカニクイザルのエサに配合し、コレステロールの推移を観察しました。エサはコレステロールを加えたものと加えないものを用意し、2つのグループに分けて実験を行っています。
その結果、アルファルファのサポニンは血漿コレステロールを低下させ、アテローム(粉瘤)発生を減少させることが分りました。このことから、アルファルファのコレステロール低下作用が示唆されています。[※10]
MölgaardJ らの実験では高コレステロール血症の患者に加熱したアルファルファ種子40gを8週間投与。血清中の総コレステロールとLDLコレステロールの変化を調べました。その結果、最大で総コレステロール26%、LDLコレステロール30%の減少が確認されています。このことから、コレステロールを低下させる作用がわかりました。
ただし実験後わずかに体重が増加したことから、アルファルファ種子によるカロリー過剰摂取の可能性が考えられています。[※6]
Universita degli Studi-Siena のMinerva Gは葉からの抽出物を使い、更年期症状の治療への有効性を調べています。葉の抽出物を投与した実験ではプロラクチンや甲状腺刺激ホルモンの応答を活性化し、甲状腺放出ホルモンに対する応答を促す効果がわかりました。
ホルモンの基礎レベルは変わらなかったことから、副作用のない抗ドーパミン作用を得られることが明らかになっています。この実験から、頬の紅潮や夜間の発汗といった症状の改善が示されました。[※11]
現在もアルファルファに含まれる成分について研究が進んでおり、今後も新たなエビデンスの報告が期待されています。
アルファルファのルーツはイランであるという説がありますが、紀元前の書物への記述や遺跡からアルファルファが見つかっていることから、人とのかかわりに長い歴史がある植物です。中央アジアからシベリアといった広範囲に自生していましたが、いまでは米国、カナダ、中国など世界中で栽培されています。
有効性の高い栄養素を持つことから注目され、アメリカで健康食品やサプリメントの素材として使われるようになりました。日本では1981年に生産が始まり、安定的に供給されるようになったことから、食卓でおなじみの食材になりました。
近年は栄養学的な研究が活発化し、各種ミネラルやビタミン、たんぱく質など配合成分について関心が高まっています。
アルファルファを含むスプラウト系の野菜は、栄養分が豊富なことから医師や管理栄養士からも注目を集めています。ビタミンやミネラルが豊富なことから、最近はますます人気が高まっている食品です。
新芽が出る段階で、種子の状態では存在しなかった種類のビタミンや酵素、そのほかの栄養成分を合成することから、一般的な野菜よりも栄養が豊富だといわれています。
野菜によっては栄養素が数倍~数十倍になると述べている専門家もいるほどです。料理研究家・管理栄養士の関口絢子氏は
「丸ごと摂れるホールフードとして栄養バランスに優れていることなのです。」(ウェルネッセ「スプラウト(発芽食品)の栄養学|VITAFLAVONE | ビタフラボン」より引用)[※17]
と述べています。
栄養豊富なスプラウトを摂取することで、十分なビタミン、ミネラルを補給できると考えられます。
ただし、長時間水にさらすと栄養が流れ出る可能性があるので、さっと水洗いするだけに留めましょう。
最近は豊富な栄養成分に加え、健康に役立つ成分の有効性が調査されています。がん予防の効果が期待できるデザイナーズフードとして知られているものもあり、今後の研究に関心が寄せられている成分です。
豊富な栄養素を含むアルファルファは、生で食べることで効率的に栄養素を摂取できます。アルファルファスプラウトを、サラダやおかずの付け合わせとして使うといいでしょう。
生では食べにくいという方は、スープや野菜炒め、オムレツの具などにするのがおすすめです。スーパーで手軽に購入できるので、すぐにでも試すことができます。最近は園芸店で種を購入し、自家栽培する方も増えているようです。
また成長した葉をお茶にするとハーブとしての効果も得られます。利尿作用によるむくみ解消が期待できるため、自家栽培のアルファルファが育ちすぎてしまったときはハーブティーにして飲むと良いでしょう。
アルファルファに含まれるイソフラボンは、明日葉と一緒に摂ることでメタボリックシンドロームを防ぎやすくなります。
明日葉に含まれるカルコンは体内で脂肪細胞に作用し、血圧低下や脂肪燃焼を高めるアディポネクチンの産生を増やします。最近の研究から、イソフラボンはカルコンの作用を助け、増強してくれる働きがあることがわかってきました。[※12]
タカラバイオの研究では、イソフラボンを摂取すると、アディポネクチンの産生が増えるという結果が示唆されました。[※12]
このことからイソフラボンには、明日葉カルコンのアディポネクチン産生作用を強める効果が期待できます。
野菜として適量を摂取する場合は、副作用が見られない成分です。
ただしアルファルファに含まれるカナバニンは、関節に炎症を起こし自己免疫力を下げる全身性紅斑性狼瘡(ぜんしんせいこうはんせいろうそう)を引き起こす可能性があります。アルファルファを多量摂取させた実験で全身性紅斑性狼瘡が起こったという報告もある[※13]ため、摂取量には注意が必要です。
また、アルファルファにはクロロフィルが入っていることから、多量摂取すると光過敏症を引き起こすおそれがあります[※14]。日光に当たると皮膚が過剰反応を起こし、1~2日で赤みや腫れが現れるのが特徴。日焼けや水ぶくれなどができる可能性もあるので、適度な摂取量に留めましょう。
アルファルファに含まれるビタミンKは、血栓治療薬であるワルファリンの血液凝固阻害作用を妨害することがあります。[※15][※16]そのため、併用は控えてください。
また、アルファルファはエストロゲン様作用を持つので、多量摂取すると経口避妊薬やホルモン治療薬の効果に影響を与える可能性があります。[※15]