名前から探す

アセロラの効果とその作用

「ビタミンCの王様」と呼ばれるアセロラには、レモン果汁の約34倍もの天然ビタミンCが含まれています。アセロラの世界最大の産地は南米ブラジルですが、そのほかにもハワイやベトナム、沖縄など熱帯気候や亜熱帯気候の地域が栽培には適しています。

西インド諸島や南アメリカ北部から中央アメリカが原産。熱帯気候や亜熱帯気候で良く育ち、太陽の光をさんさんと浴びることで、ビタミンやミネラルをたっぷり含んだ実になります。
それでは早速、アセロラの効果やその作用、摂取するときの注意点などを見ていきましょう。

アセロラにはどのような成分が含まれているか

アセロラには特にビタミンCが多く含まれ、100gで1700mgものビタミンCが摂取できることから、「ビタミンCの王様」とも称される果実として知られています。

ビタミンCの含有量が多いとされるいちごでも、100g中に含まれるビタミンCの量は62mgですから、いかにその含有量が多いかがわかると思います。

厚生労働省が推奨する、日本人のビタミンC摂取量は1日100mgなので、[※1]アセロラなら5~6粒食べるだけで、1日分のビタミンCが摂取できる計算です。

ビタミンCには、水に溶ける水溶性と油に溶ける脂溶性の2種類があります。アセロラに含まれているのは、水溶性のビタミンC。しかし、脂溶性ビタミンのβ-カロテンやビタミンEも含んでいます。

ほかにも、アセロラにはビタミンCを始め、カリウムなどのミネラルやポリフェノール(アントシアニンやケルセチン)などが含まれています。体内のナトリウム濃度を調整するカリウムは、むくみや高血圧予防に効果的な成分。[※2][※3]

さらに造血ビタミンともいわれ血液を作るのに欠かせないビタミンB群の葉酸も多く含むことから、アセロラは貧血改善に良いともされています。

ポリフェノールのアントシアニンやケルセチンは抗酸化力が高く、活性酸素を除去してくれます。体の老化や病気の予防に役立ってくれるでしょう。

アセロラの効果・効能

アセロラには次のような効果・効能があるといわれています。

■美肌・美白効果

アセロラに含まれるビタミンCは、コラーゲンの生成促進[※4]やメラニン色素の抑制などの働きがあります。そのため、ビタミンCを摂取することで、しわやたるみ、シミなどが改善し、美肌・美白の効果が得られます。

■抗酸化作用

ビタミンCやポリフェノールには活性酸素を無害化する抗酸化の働きがあります。[※5]アセロラには抗酸化力のある両方の成分が含まれているため、効率よく体内の活性酸素を除去できます。

■抗ストレス作用

抗ストレスホルモン「コルチゾール」を分泌するには、ビタミンCが不可欠。[※6]コルチゾールは体内のエネルギーを高め、ストレスに対抗する臨戦態勢を整えるホルモン。ビタミンCが不足すると、充分な分泌が図れないため、暑さや寒さ、運動といった物理的なストレスや心理的なストレスに弱くなってしまいます。

■免疫力・抵抗力の向上

免疫の1つであるインターフェロンの生成にもビタミンCが使われます。ビタミンCは補酵素として働き、免疫機能を強化。ただ、メインの酵素の構造は遺伝子によりさまざまのため、ビタミンCを上手く利用できる人とそうでない人がいます。少量で効果がある人がいれば、たくさんビタミンCを補給しないといけない人もいるということです。[※7]

■血圧を下げる

アセロラに含まれるカリウムには、体内のナトリウム濃度を平均に保つ恒常性があります。[※8]

体内のナトリウム濃度が高い場合、カリウムが作用して不要なナトリウムを体外へ排出。この作用により、高血圧予防に効果があるとされているのです。

■むくみの予防・改善

体内のナトリウム濃度が高まると、水分を摂りこんで薄めようとする働きが起こります。[※9]それが、むくみとなって現れるのです。カリウムにはナトリウムを減らす働きがあるので、むくみの改善や予防に効果があるといわれています。

どのような作用(作用機序・メカニズム)があるのか

アセロラには美白作用があります。アセロラに含まれるビタミンCやポリフェノールによるものです。
マウスのメラノーマ細胞を使った実験があります。アセロラ果汁1%、2.5%、5%の溶液中でメラノーマ細胞を培養。結果、濃度が一番濃い5%の溶液中のメラノーマ細胞は、何も添加されていない溶液中のメラノーマ細胞の約4分の1程度しか増えませんでした。
これは、アセロラ果汁に含まれるビタミンCの効果によるものとされています。

さらに、アセロラに含まれるポリフェノールには、メラニンを合成する酵素のチロシナーゼの働きを阻害する作用があることがわかりました。[※10]
ビタミンCとポリフェノールのどちらにもメラニン抑制作用があることから、アセロラには美白効果があるといえます。

アセロラに含まれるビタミンCについて見ていきましょう。
体内に入ったビタミンCは、胃ではなく主に小腸から吸収され、体中のあちこちに運ばれます。[※11]皮フや粘膜に運ばれたビタミンCはコラーゲンの生成を助ける働きがあります。

生まれたばかりのコラーゲン(プロコラーゲン)は、キレイな繊維状ではありません。そこへビタミンCが作用すると、きちんとした繊維状になります。[※12]

血管や骨にもコラーゲンは含まれているため、ビタミンCが不足すると肌が荒れてしまうだけでなく、血管や骨がもろくなってしまうともいわれています。

どのような人が摂るべきか、使うべきか

アセロラは、偏った食事や運動不足、ストレス過多の方には摂っていただきたい成分のひとつ。肌荒れや倦怠感、免疫力の低下といった不調を改善するために、ビタミンCは欠かせない成分です。

アセロラは「ビタミンCの王様」といわれるほど、栄養素を豊富に含んでいますが、生のアセロラを手に入れるのはなかなか難しいという問題があります。
そんな時は成分を壊さないように作られた生のジュースやサプリメントを利用するといいでしょう。

アセロラの摂取目安量・上限摂取量

アセロラには明確な摂取量の目安や上限は設けられていません。
アセロラは1粒が5g~8gほどの果実。果実の90%が水分です。100gあたり、32キロカロリーあり、ビタミンCは約1700mg、その他のビタミンやミネラル、ポリフェノールなどを含んでいます。
成人のビタミンCの1日の推奨量100mgをアセロラで換算すると、5~6粒。摂取上限目安量の2000mgなら116~118粒となります。[※13]

アセロラのエビデンス(科学的根拠)

アセロラドリンクを販売しているニチレイフーズの研究開発室が行なった、アセロラジュースを使った肌質改善の実験があります。
40代の女性を「アセロラ飲料を飲む」「アセロラ以外のビタミンC飲料を飲む」「アセロラ飲料に似た味の飲料を飲む(プラセボ)」の3グループに分けて、肌状態が回復するのかを確かめる実験です。予備試験が8週間、本試験が12週間行われました。
結果、アセロラ飲料を飲んでいたグループの自己評価は、服用前よりも効果があったと回答があり、皮膚科医の診断も同様の結果でした。機器による測定では、数値は他のグループに比べて良かったものの、再現性は見られなかったということです。[※14]

研究のきっかけ(歴史・背景)

アセロラの発祥は西インド諸島と呼ばれるジャマイカやバハマのあたりといわれていますが、15世紀ごろに世界中を航海していた船乗りたちがイギリスやスペインなどの本国に持ち帰ったことから広まったと考えられています。

アセロラという名前はスペイン語読みで、和名はバルバドスサクラといいます。
日本の産地である沖縄県本部町が、初収穫の日である5月12日を「アセロラの日」と制定しています。

20世紀初頭にアメリカの学者マスタード氏により、ビタミンCの含有量が100gあたり1700mgもあることが判明。日本には1958年に、沖縄にやってきました。名護市の農場試験場に植えられた8本から、日本のアセロラの歴史は始まったのです。

ビタミンCの含有量に注目が集まりましたが、足のはやさから数日すると実の劣化が始まってしまうアセロラ。ジュースやジャムなどの加工品として広まっていきました。
やがて、化粧品やサプリメントにも利用されるようになり、いまでは美容や健康に良いフルーツとして知られています。

専門家の見解(監修者のコメント)

20年以上も前から活性酸素に着目し、食品の有用成分のなかでも特に赤い色素の構成成分・アントシアニン研究の第一人者である、大庭理一郎教授(崇城大学特特任教授)。大庭教授はアセロラについて、以下のように語っています。

「アントシアニンは酸素ラジカルすなわち活性酸素を消去する抗酸化作用が最も強いものです。活性酸素が多量に生ずれば日焼け、アザ、シミ、ソバカス、しわが生じ、年齢よりも老いて見られてしまいます。その悪い影響を防ぐのがアントシアニンです。」[インナーコスメ うらら公式サイト 大庭教授のエイジングケア講座 第2回アセロラの生体作用 より引用][※]

と述べています。また、

「アントシアニンにビタミンCが加わると相乗作用が起こり、各々の抗酸化能より強い作用を発揮することが突き止められました」[インナーコスメ うらら公式サイト 大庭教授のエイジングケア講座 第2回アセロラの生体作用 より引用][※]

とも発言していることから、アントシアニンとビタミンCを含んでいるアセロラのパワーが窺がえます。

アセロラを上手に摂取するには

アセロラは収穫してから鮮度が保てるのはたったの2日~3日ほどで、すぐに食べられなくなってしまうほど足のはやいフルーツ。沖縄でしか生産されていないため、果実を食べるなら冷凍されているものを購入することになります。

果実のまま食べてもいいですし、ジュースにして飲んでもいいでしょう。果実をまるごとジュースにすると、有効成分を無駄にすることなく摂り入れることができます。
もともと酸味が強い果実ですので、アセロラ100%では飲みにくいはず。そんな場合は水で薄め、はちみつや砂糖を入れると飲みやすくなります。
アセロラは酸化が早いので、果実からジュースを作るときは、飲む分量だけ都度作るようにしてください。

一緒に摂るべき成分

アセロラのビタミンCはコラーゲンの生成に欠かせないことから、コラーゲンの元となるたんぱく質やアミノ酸などと一緒に摂ると、美肌効果が期待できます。

肉類だけでなく、ヨーグルトや生クリームなどの乳製品にも良質なたんぱく質が含まれているので、アセロラと一緒にしてデザート感覚で摂ることができます。

アセロラの持つ抗酸化作用にプラスしたいのが、トマトのリコピンやビタミン類、大豆のサポニンなど。リコピンやビタミン類は自身が抗酸化力を持つ成分。[※][※]一方サポニンは、活性酸素の発生を抑える働き[※]もあります。
これらの成分と一緒にアセロラを摂ることで、より高い抗酸化作用が得られるでしょう。

アセロラに副作用はあるのか

アセロラは果実のため可能性は低いのですが、人によってはアレルギーを発症する可能性があります。花粉症患者の増加に伴い、果実アレルギー患者も増えているといわれているため、[※]食べて口の中がかゆくなったり違和感を覚えたりした場合は医療機関を受診しましょう。

アセロラに含まれるビタミンCは、大量に摂取した場合不要な分は体内に吸収されず、腸内細菌のエサとなったり体外へ排出されたりします。数g単位で大量に摂取した場合は、下痢や嘔吐、腹痛になることがあります。[※]

アセロラに含まれるカリウムにも注意が必要なケースがあります。薬や腎臓の機能に問題がある場合、カリウムの体外排出が上手くいかずに、高カリウム血症を引き起こす可能性があるのです。体内のカリウム濃度が高くなると、重篤な症状が現れてしまうことがあります。腎臓機能に不安がある人は、カリウム濃度を測定してもらい、カリウム摂取量に注意するようにしましょう。