アサイーの果実は傷みやすく、生果のままでは流通することが難しい果物です。しかし、加工技術の発達により、飲み物、アイス、ピューレ状のものだけでなくフリーズドライやサプリメントなど、様々な形で手に取ることができるようになり、世界中で美容や健康のために多くの人に利用されている人気の食材です。
アサイー(Açai)は、別名アサイーベリーともいわれ、ヤシ科エウテルペ属の植物でブラジルのアマゾン熱帯雨林に生育し、1株から複数幹が出ます。
白く細長い幹は、25mほどにもなり、葉は最大で2mほどになります。植えてから、4年ほどで実をつけ、果実は直径1〜1.2cmほどの球状か楕円形です。
果実の見た目はブルーベリーに似ていますが、味は甘味も酸味もなく、油脂分特有のコクが特徴です。果実は黒紫色の小粒の果実で種が非常に大きく95%をしめ、可食部は1粒あたりわずか5%ほどしかありません。水分は少なく、果肉も皮のような質感です。
しかし、その中には必須脂肪酸、アミノ酸、鉄、亜鉛やカリウムなどのミネラル、ビタミンB群やビタミンEなどのビタミン、食物繊維、βシトステロールなどの植物ステロールが含まれます。また、ポリフェノールではシアニジンー3-グリコシドやシアニジンー3-ルチノシドなどのアントシアニンやプロアントシアニン、フェルラ酸、エラグ酸を含み、豊富な栄養素と強力な抗酸化作用が認められています。
そのため、昔からアマゾンの原住民の栄養源として食され、現在では健康や美をサポートしてくれる「スーパーフード」として利用されています。[※1]
アサイーには次のような効果効能が知られています。
■貧血を改善する効果
鉄は体内に酸素を運び、貧血を予防します。しかし、吸収率は非常に低い上に、限られた食材に含まれています。最近の女性に多くみられる鉄の不足の原因は、無理なダイエットや偏った食生活による栄養不足が原因の1つとしてあげられます。アサイーには、豊富に鉄が含まれますが、吸収率が8%前後とやや低めです。そのほか、18種類のアミノ酸や葉酸なども豊富に含まれ、栄養バランスを整えるのに対し、有効な食品と言えます。[※2]
■アンチエイジング効果
私たちの体は、紫外線やストレス・排気ガスや喫煙などによって、日常生活においても、酸化されていきます。老化や体の不調を引き起こす原因として、活性酸素による酸化が考えらえますが、アサイーに含まれるポリフェノールは、強力な抗酸化作用をもち、活性酸素などの有害物質を無害な物質に変える作用があるため、アンチエイジングに効果があるとされています。
■眼精疲労を改善する効果
アサイーには、ポリフェノールの一種であるアントシアニンという色素成分が含まれており、目の網膜にあるロドプシンの再合成を促進。視力の回復や眼精疲労の回復・軽減に効果があることが分かっています。
■動脈硬化の予防
アサイーに含まれるβシトステロールなどの植物ステロールは植物由来の脂質成分で、その構造は、コレステロールと非常によく似ています。コレステロール、植物ステロールは、ともに小腸で胆汁酸に包まれて吸収されます。植物ステロールが存在することにより、コレステロールの吸収が阻害され、体外に排出されるので、血中のコレステロールを下げる働きが期待できます。このため、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞、脂質異常症などを予防する役割があります。
■美肌効果
アサイーに含まれるポリフェノールの抗酸化作用により、肌の老化予防にも効果を発揮します。また美白効果、ビタミンB群の作用により肌の健康を保ちます。さらに乾燥させたアサイーには、オレイン酸を中心とした脂肪酸が、乾燥重量の約18%含まれます。オレイン酸は、不飽和脂肪酸の中で、酸化に対する安定性が高く、シミやシワの老化を抑える働きが期待できます。
■骨粗鬆症を予防する効果
骨粗鬆症は骨の組織の密度が低下して、骨がもろくなり、骨折しやすくなる疾病であり、女性に多い疾患です。女性の骨量は、20~30歳がピークで、その後、女性ホルモンの分泌が減少するとともに骨量も減っていきます。骨密度は、若いころのダイエットやカルシウム不足、運動不足による骨量現象も原因の1つと指摘されています。また日常的にカルシウムが不足すると骨粗鬆症や筋肉のけいれん、精神安定にも影響が出てきますが、アサイーには、カルシウムが多く含まれているので、骨粗鬆症の予防効果があります。そのほか、精神の緊張や興奮を緩和する働きも期待できます。
■生活習慣病予防に対する効果
研究の中では、ヒトに対する有効な結果はまだはっきりと解明されていませんが、多くの研究において、アサイーなどに多く含まれるアントシアニンが、脂肪の蓄積、血糖値の改善効果が期待されています。 [※8]
アサイー果肉100gには2200mgのポリフェノールが含まれており、(無水物換算 株式会社フルッタフルッタ調べ)、紫色の色素アントシアニンが主な成分です。
アントシアニンは、赤、紫、青色を呈する色素で糖鎖(グルコース、ガラクトース、ラムノース)が結びついた、配糖体の形で、液胞に含まれます。[※1]
アントシアニンは、その多くが配糖体のままで、直接体内に吸収されると報告があります。[※8]
マウス実験において、アントシアニン抽出物摂取が肝臓、白色組織の脂肪合成を低下させる作用があり、体脂肪蓄積を優位に抑制する報告されています。
また2型糖尿病マウスにおいて、アントシアニンの摂取は、グルコーストランスポーター4(Glut4)の発現上昇をモラ垂らすことで、レチノール結合タンパク質(RBP4)を低下させることにより、末梢組織でのインスリン感受性を改善し、糖新生亢進による グルコール流出を抑えると結論づけられますが、人に対しての生理的意義については、結論づいてはいません。[※8]
豊富な栄養素を含むため、朝食欠食者や偏ったダイエットをしているかたに栄養バランスを整える働きとしてオススメです。
抗酸化作用が強く、アンチエイジング効果が期待できるため、若さを保ちたいと考えているかたやまた生活習慣病予防としても良いでしょう。
鉄を多く含むため、貧血予防としても効果が期待できます。美容やスポーツ後、仕事でストレスを抱えている場合など日々の疲労感がなかなか抜けないかたにも向いています。
アサイーが安全かどうかについての十分なデータがまだ得られていませんが、食品としての摂取を考えた場合は、上限量は設定されていません。
生ジュースは、アメリカトリパノソーマ症やシャーガス病の流行に関係があるとされていますが、明確ではありません。妊娠中や母乳授乳期には、医師などに相談することも良いでしょう。[※3]
健康目的でアサイーベリーの使用に対して、ひとを対象にした研究に基づく明らかな科学的根拠はありません。
アサイーサプリメント単体で、急速な減量を促すという説を実証した自主研究は、専門誌にも発表がありません。動物を対象にアサイーを濃縮したジュースの安全性プロファイルを調べたところ、ジュースを摂取したラットと対称群のラットに体重の変化はありませんでした。
アサイーの基礎研究において、潜在的な抗酸化作用に着目されています。抗がん作用、抗炎症作用を発揮することが示されています。[※7]
アントシアニンにおいて、メタボリックシンドローム関連のヒト介入試験があります。
ブルーベリー、ビルベリーでは、イタリアの研究グループによって、48名の肥満男女に対して、摂取試験を実施した結果、酸化LDLが低下、グルコース濃度、体重、ウエスト周囲径は改善されなかったという報告がされています。
米国の研究では、インスリン抵抗性32名の男女による二重盲検無作為比較試験において、アントシアニン668mg/日(ブルーベリーパウダー)を6週間摂取することにより、インスリン感受性が改善すると報告しています。
コホート研究、無作為試験解析から、アントシアニンは、心血管疾患に対して、有効とされていますが、52名の閉経後女性を対象とした実験では、500mg/日(エルダーベリー)12週間摂取の結果、心血管疾患マーカー改善には至らなかったと報告があります。
ヒト介入試験には、相反する結果もあるため、さらに検証が必要と言えます。[※8]
アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβは、40〜50代頃から脳内に蓄積されることがわかっており、現在では、このアミロイドβの抗体を体内に投与する免疫療法が有効とされています。
アサイーポリフェノールの主成分であるアントシアニンのシアニジン3グルコシド(C3G)は、このアミロイドβに対して顕著な凝集抑制効果を示してたという報告があります。[※1]
アサイーボウルが有名になったのは、ハワイですが、アサイーそのものは原産地ブラジル、アマゾン周辺のエリアであり、アマゾン周辺に暮らすネイティブアメリカンは、数千年前より民間医薬として、アサイーを使っていたと考えられます。
アマゾンで生まれた自然とともに生きる農業として、アレグロフォレストリーという考え方があります。自然の森に近い状態で、栽培することにより、畑に多様性を取り戻し、森を再生する農業とされ、アサイーもこの農法を使い、生産されています。[※1]
アサイーは、スーパーフードというキーワードでも広く知られています。スーパーフードとは、アメリカやカナダで、1980年代頃から食事療法を研究する医師や専門家の間で使われ始めました。一般社団法人スーパーフード協会では、スーパーフードの定義を「栄養バランスに優れ、一般的な食品より栄養価が高い食品であること。あるいは、ある一部の栄養・健康成分が突出して多く含まれる食品であること。一般的な食品とサプリメントの中間にくるような存在で、料理の食材としての用途と健康食品としての用途をあわせもつ。
としていますが、アサイーもこのスーパーフードと位置付けられています。[※9]
白澤抗加齢医学研究所の所長、医学博士白澤卓二氏によると、抗加齢医学において、有用性があるものとして、アサイーについて述べています。
アサイーの特筆すべき点として、糖質が少なく、油脂が50%以上のいうこと。この油脂分には、オレイン酸が多く、摂取を推奨したい油脂であること、アサイーを摂取することで「貧血改善、疲労回復、美肌」を体験した声も多く、アサイーは、幹細胞を活性化させるのではないかと推測しているとコメントをしています。 [※1]
■アサイーボール
【材料】(1人分)
【作り方】
アサイーには、鉄を多く含みますが、植物に多く含まれる非ヘム鉄は、吸収が低いため、ビタミンCの多く含まれる果物や野菜と合わせることでより効果が期待できます。
ビタミンDを多く含むもの、タンパク質などと合わせることで、カルシウムの吸収を高める効果が期待できます。
ほかの医薬品との相互作用については、まだ明らかではありません。
また他のハーブ、健康食品、サプリメントとの相互作用についてもまだ明らかにはなっておらず、標準使用量に関するデータもありません。[※6]
サプリメントとしてのアサイーの安全性については、信頼できる情報がほとんどありませんが、アサイーは食用の果物またはジュースとして広く摂取されています。[※6]
アサイーまたは、ヤシ科の植物に対してアレルギーがある場合には、注意が必要です。
アサイーの摂取によってMRIの検査結果に影響が出る可能性があるという報告もあります。アサイー製品を常用している場合、MRIを受ける予定のある場合などは、医療スタッフに確認することが良いでしょう。[※6]