ナチュラルクリニック代々木 銀谷 翠先生

私は秋田の田舎出身です。自然が豊でおいしいお米やお水に恵まれた地域でのびのびと育ちました。しかし秋田県は自殺する方が多い地域でもあり、そういった話しを耳にすることが少なくありませんでした。また自殺だけでなく精神病に悩む人については「触れてはいけないこと、隠しておくべきこと」という風潮があり、そのことに違和感を感じていたのです。心を病むことは、決して特別なことではなく誰にだって起こりうることです。それを遠ざけるのではなく、正面から向かい合わなければ問題は余計深まるのではないかと14歳頃から考え、精神科医になろうと決めたのです。

それは違います。診察の際に代替医療も含めて他にどんな治療方法があるのか、ほとんどの場合説明がありません。特に精神疾患の場合、薬以外の選択肢がないのです。実際、薬を減らしてほしいと思っている患者さんは少なくありません。そこで私はまず漢方を勉強しました。保険適用が認められている唯一の代替医療だからです。その成果には驚くべき効果があり、担当していた患者さんたちの減薬にも成功しました。しかし減薬することは勤務先の病院から反対されてしまいました。症状が改善せず、何年も入院しているような状況に私は疑問を感じ、薬以外の治療法がないか漢方以外にも勉強しましたが、周囲の精神科医からは厄介者扱いされてしまいました。

私が精神科医になることを決意して20年以上経ちますが、日本では精神障害は5大疾病になっています。しかし精神障害は特別なことではなく、アンタッチャブルなことでもありません。うつ病は近年少しずつ理解されてきていますが、誰もがかかる可能性のある病気です。どんな方にも起きてほしくない出来事や辛いことが起こります。その時にその出来事を乗り越える力があるかどうかは、その人の健康状態や自然治癒力の高さに関わります。普段から栄養状態が良好で、細胞が元気であれば、乗り越える力は高いとえますが、そうでない人の多くが乗り越えられず心を痛めてしまうのです。しかし栄養の受け皿である細胞膜を元気にし、必要な栄養素を与えてやれば必ず症状は改善します。精神障害は治らない病気ではないということを知ってほしいのです。