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- 専門家紹介
- 早稲田大学 ナノ理工学研究機構 矢澤 一良 先生
1972年京都大学・工学部卒業。1973年(株)ヤクルト本社・中央研究所入社。1989年東京大学より農学博士号を授与される。2002年東京水産大学大学院客員教授。2012年東京海洋大学 特定事業「食の安全と機能(ヘルスフード科学)に関する研究」プロジェクト 特任教授。2014年4月早稲田大学ナノ理工学研究機構 規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門 研究院教授。
「食の安心・安全」から「健康食品」まで、食と健康に関するあらゆる問題に精通する矢澤先生。膨大な知識と最新情報をわかりやすく話してくれるのでメディアでも大活躍。エビデンス(科学的根拠)に基づく健康食品の最新動向から未来の予測、そしてサプリメントは本当に活用できるのか?ということまでたっぷりお話ししてくれた。
サプリメントを含む健康食品業界は
今後どうなると予測されていますか?
安倍政権の方針の1つと言えますが、高齢化や医療費の高騰などの問題が続くなかで今まさに政治と行政はタッグを組んで「予防医学」に取り組んでいます。この流れにはもちろん「食による予防」も含まれ、2015年4月からは新たな食品表示制度が始まります。これほどまでに行政が真剣になって予防医学に取り組んだのは初めてで、私たちのような食の研究者だけでなく、この流れにうまく乗り機能性表示ができる企業や商品開発のできる企業にとっては空前の追い風です。同時にこの流れを押し進めるためには多くの国民からコンセンサスを得る必要があります。
国民のコンセンサスを得るために
政治・行政・企業はどのように動いているのでしょう?
「機能性食品(ファンクショナルフード)」という言葉は日本人が考え、世界中に広まり先駆的な役割を果たしました。ところが「食による予防や健康促進」は先進国のなかで日本が一番遅れています。食品表示法が変わりますがそれは国民のためです。国民はサプリメントも含め食品に一定の健康機能があることをわかっていて、正しく知りたいと思っています。
アメリカはこの分野で成功していますが、これは「健康教育法」が制定され、消費者の利益や医療費削減貢献のための「教育」に力を注いだからです。日本もこの手法を参考にして環境を整えています。同時に健康強調表示も拡大される見込みです。食品は何よりも安心・安全であることが絶対ですが、その上で機能性という付加価値で選ぶ時代がもうそこまで来ているのです。
それでも食品の機能性やサプリメントを批判する人がいますが。
ヘルスフードと認めるには「科学的エビデンス」が絶対に必要です。同時になぜその食品(食材)がヘルシーなのかメカニズムも明らかである必要があります。例えば「コラーゲンを摂っても何の効果もない」と言う人がいますが、そうではありません。1日5,000mgのコラーゲンを1〜2ヶ月継続摂取すると肌の保水性が向上するというエビデンスはあるのです。確かに「フカヒレを食べればプルプルになる」というのは迷信で毎日食べなければそうはならないでしょうが、実感がないコラーゲンというのは5,000mg以下であったか、摂取期間が短かったからなのです。
体の健康に役立つ以外の機能性を持つ食品はありますか?
健康とは体、脳、心の3つが元気であってこそ成立しますが、体の健康を整えるヘルスフードの他に、脳の機能を整えるブレインフード、心の健康を整えるムードフードというものもあります。
高齢者の認知症、青年のうつ病、子どものADHD(注意欠陥・多動性障害)が増えていますが、国内で心の病気で治療を受けている人の数は、三大生活習慣病で治療を受ける人の数よりも多いという現状があります。心の問題は脳が正常な判断を下せないというケースが多いので、脳を活性させるあるいは酸化させない食事が大切です。
最後に読者へメッセージをお願いします。
私たちの体は食べたものからできていて、食に関する情報を的確に入手することはますます消費者に求められます。厚労省によれば日本人の70%以上は「疲れている」そうで、これによる経済的損失は数兆円規模と言われます。難しく考えるのではなく、一人ひとりが健康に生き生き生活することこそ国を健全に維持していく上で最も重要なことです。誰もが簡単に取り組めることの1つに「おやつ」の見直しがあります。適切なおやつは肥満や糖尿病の予防に一役買い、サプリメントや健康食品に馴染みのない人も、食事では補いきれない必要な栄養素を補うチャンスになるのです。日本発祥の「おやつ」が健康増進の手段になれば「OYATSU」として世界にも通用するのではないでしょうか。
- 所属「日本を健康にする!」研究会
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