今が旬の春のお魚
サワラ(鰆)
料亭風アレンジで食べてみて
暖かい日差しが心地よいこの季節。季節はすっかり春に変わりました!寒い冬を超えるために一生懸命土の中で生きていた植物たちも一気に芽吹いて自然のパワーがみなぎる春。旬の食べ物といえば春野菜を思いつく人が多いと思いますが、実は魚も美味しい時期です。今回は今がまさに旬である魚、「鰆(サワラ)」についてご紹介します。
サワラってどんな魚なの?サワラの基礎知識
サワラは1メートルをも超える細長い魚で全体的に銀色、背中側に黒っぽい斑紋が散らばっています。サバ科の魚なので青魚に属します。細い体のつくりであることもあってお腹が狭い、つまり「狭い腹」=「サハラ」ということで「さわら」と呼ばれているそうです。漢字で書くと魚編に春を合わせて書きますが、これは産卵期である春に瀬戸内海に押し寄せ、一年で最も収穫できたことにも由来しているそうです。
また、サワラは出世魚で地域によっても呼び名は変わりますが、体調が50センチ以下だとサゴシ(サゴチ)、50センチを超えるとヤナギ、70センチ以上になるとサワラ、と呼ばれます。春が旬とされる魚ですが、1年を通して獲れる魚で、福井県や京都、中国四国地方~九州にかけて広い範囲で獲れる魚でもあります。
身はとても柔らかく割れやすいのが特徴です。そのため、裁くときは良く切れる包丁を使ってギコギコと往復させるのではなく、スッと優しく一回で引くと切り口も綺麗に仕上がります。
サワラに含まれる嬉しい栄養成分とは?
サワラはサバの仲間なので、可食部100gあたり177kcalとヘルシーにもかかわらず、青魚特有の栄養素も含む食材です。特に知っておきたい栄養素は以下の通りです。
●たんぱく質
可食部100gあたりのたんぱく質は20.1gです。たんぱく質は筋肉やお肌の土台となるだけでなく、丈夫な骨を作る上でも大切な栄養素となります。
●脂質
可食部100gあたりの脂質は9.7gです。脂質が含まれている=太る?と思っている方もいるかもしれませんが脂質は私たちの体にとって必要不可欠なものです。サワラに含まれる脂質のひとつにはn-3系脂肪酸であるDHAやEPAが多く含まれています。これらは神経の伝達をスムーズにしたり、スムーズな血流に役立ったりします。
また、脂質は脂溶性ビタミンの吸収を良くする働きやお肌の潤いを保つのにも役立ちますので、美容と健康を維持するためには欠かせない栄養素です。脂質といっても幅広くありますが、共通するポイントとしては「新鮮なものを選ぶ」こと。時間が経つにつれて酸素によって酸化され、特に魚の場合は独特の嫌な臭いの発生につながります。もちろん、鮮度が良い方が美味しいということもありますので、新しいものを選んで食べましょう。
●カリウム
意外かもしれませんが、サワラはカリウムが可食部100gあたり490㎎含まれています。フルーツや野菜に多く含まれるカリウムが魚からも摂れるのは嬉しいですよね。カリウムは余分な塩分を排出するのに役立ちますので、むくみの予防にもオススメです。ただし、魚は塩を使って調理をすることが多い食材でもありますので、バランスを大切にしましょう。
●ビタミンB12
ビタミンB12は葉酸とともに丈夫な血液を作るのに必要な栄養素です。水溶性のビタミンなので、毎日の食事から摂ることが望ましいでしょう。さわらはもちろんですが、魚に共通して言えるのはたんぱく質や脂質などのエネルギー源は十分摂れるのですが、ビタミンCや食物繊維などは含まれていません。そのため、献立にするときは魚料理に野菜をプラスすることでバランスが良くなります。小鉢や付け合わせには是非お野菜を添えて下さいね。
サワラを食べるなら一手間加えて料亭風に
特に鮮度がよいものは刺身で食べることもできますが、加熱して食べる機会の方が多いと思います。シンプルに塩焼きももちろん美味しいのですが、酒・醤油・みりんを同量合わせたものに1時間ほどつけてから焼きくと香ばしくいただけます。また、季節によって柚子を一緒につけると柚庵焼きになりますし、山椒の粉を振って焼くと山椒焼きになります。
管理栄養士・フードコーディネーター・薬膳インストラクター。ダイエット専門のサロンでの食事指導を経験後、料理人として3年間飲食店の厨房に立つ。現在は料理と器の相性を大切にし、美味しく、健康的な料理の開発や執筆に携わる。プロフィールを詳しく見る
このような一手間を加えるだけで一気に食卓が料亭のようになりますので、ぜひお試し下さい。ちなみに焼き魚が苦手という方は下味をつけて片栗粉をまぶしてから揚げるのもオススメです。
レモンを絞っても良いですし、お好みのあん(中華の甘酢あんやあっさり和風のきのこあんなど)をかけていただくのも良いでしょう。ふわっと優しい口当たりと癖が少なく食べやすいサワラ。ぜひこの季節に楽しんでみて下さいね。