「炭水化物ダイエット」
が危険ってホント?
先月、厚生労働省の研究班が、「炭水化物の摂取が長期に渡って少ない人は、そうでない人と比較して死亡率が高まる可能性がある。」という論文を発表しました。
あちこちのニュースでも取り上げられたので、この発表を知った人の中には、「では、炭水化物抜きダイエットは危険なのか?」と不安になった方がいたかもしれませんね。
炭水化物抜きダイエットは、主食を抜くだけで手軽に行える点や、短期間で体重に変化が出やすい点などがあり、今現在も実行している方が多いダイエット法ではないでしょうか。
私も、食べすぎが気になる時や、太ったかなぁと感じた時は、主食であるお米類をいつもよりちょっと控えめにしたりしているんですよね。
ということで、とても気になったので、もう少し詳しく調べてみました。
炭水化物の摂取を減らすと危険?
まず、この論文。
実は、アメリカやヨーロッパで既に発表されている研究結果を複数集めて解析したデータを基に書かれた論文だそうです。
つまり、そもそも日本人の食生活に基づいたデータではない、ということが少しひっかかります。
そして、もう一つ気になるのが、炭水化物摂取が少ない人は、動物性たんぱく質や脂肪、コレステロールの摂取量が増加しがちになる、ということです。
「動物性たんぱく質や脂質、コレステロールの過剰摂取は、動脈の老化を早め、様々な疾患を引き起こす原因ですから、炭水化物の摂取が少ないから死亡率が上がる」と言うよりは、「動物性たんぱく質などの摂取が多いから死亡率が上がる」と書いた方が的を得ているような気がします。
3大栄養素をバランスよく
もうすこし分かりやすくするために、「PFCバランス」を紹介します。
人体の主なエネルギー源である三大栄養素、タンパク質(Protein)、脂質(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)を合わせた総エネルギーを100%としたとき、各成分のエネルギー比率を出すことで、三大栄養素の摂り方がチェックできます。
それぞれどの程度のバランスで摂取するのがよいのか、健康的な目安量が決められており、そのバランスが崩れると、体に良くないことが分かっているのです。
日本では、タンパク質は全体の10~20%、脂質は20~25%、炭水化物は50~70%程度のバランスが目安と言われています。
バランスの良い人は、下の(1)の図のようになりますが、バランスが悪いと(2)のような図になります。
立教大学コミュニティ福祉学部卒業後、大学院では臨床心理学を学ぶ。その後、臨床心理士となり教育現場でのスクールカウンセラーとしての活動や、 EAPにおける産業カウンセリングに従事。メディカルサプリメント指導士・食育指導士の資格を取得するなど、栄養指導の知識も有し、心身両面からのメンタルサポートをモットーに活動中。
まとめると、炭水化物の摂取量が多い少ないは、他のエネルギーとの比率が重要だということです。
単純に減らしたり、増やしたりするよりも、たんぱく質や脂質も含めてどれだけ自分が摂取しているのか、バランスよく摂取できているかに着目して、量を調整するのがベストです。