食べるアロマ「みょうが」
でおにぎりやお寿司も楽しもう!
さっぱりしたものが食べたい! と思う日に、どんな食材を選びますか?
冷たい冷奴やそうめんは定番ですよね。
冷奴やそうめんの上に薬味として添えることの多い「みょうが」。
脇役になりがちなピンク色の小さなお野菜には私たちの体に嬉しい要素がいっぱい詰まっています。
夏が旬のみょうが、スーパーで安く手に入ります。
さっそく薬味以外の美味しい食べ方を伝授しちゃいます。
日本でしか食べられないジャパニーズ
ジンジャー
みょうがはショウガ科の植物で本州から沖縄まで日本全国で自生しています。
食用として栽培し、実際に食べるのは日本だけということもあり、英語では「Japanese ginger」と名づけられています。
日本のほとんどの場所で栽培されているみょうがですが、実は主な生産地は高知県で全体の75%以上が生産されています(平成20年産地域特産野菜生産データ)。
みょうがは6〜10月頃の夏から秋にかけて旬を迎え収穫されますが、その中でも夏に収穫されるものは「夏みょうが」、秋に収穫されるものは夏みょうがよりも少しふっくらとしている「秋みょうが」と分類されます。
スーパーにもよく並びますが、私たちが口にしているのは花になる部分の集まり。
美味しいみょうがを選ぶためには花が咲いていない状態で、全体的に傷がなく艶があること、そして全体がふっくらとしたものを選ぶと間違いありません。
また、保存する場合はみょうが独特の香りを守り乾燥を防ぐために、ラップで1つ1つを密封して野菜室で保存してくださいね。
ヒノキの香りと同じ成分が含まれているから
爽やか
薬味として用いられることが多いみょうがですが、どのような栄養素が含まれているのでしょう。
みょうがの90%以上は水分で、エネルギーは100gで12kcalととても低カロリー。
むくみ予防に役立つカリウム、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルも少量ですが含んでいます。
また、脂溶性ビタミンのビタミンA,Kと水溶性ビタミンのビタミンB群、Cなども含み、食物繊維も100gあたり2.1g含まれています。
そんなみょうがの一番の魅力といえばやはり「香り」ではないでしょうか。
独特の爽やかな香りの成分は「αピネン」と呼ばれる精油成分です。αピネンには次のような効能があります。
・ 強壮作用
・ 血行促進作用
・ 抗菌作用
・ 免疫向上作用
αピネンを含む有名な香りといえば「ヒノキ」です。
森林浴をした後の清々しさが想像しやすいと思いますが、どうりでみょうがにも似たような清々しさがあるわけです。
ちなみにこの香り成分は「精油」ですので、水には溶けにくいのですが、油ととても相性が良いという特徴があります。
そのため調理をする際は油を使った料理もオススメです。
みょうがに関するあの噂は嘘!
ところで「みょうがを食べ過ぎると物忘れがひどくなる」という話があるようですが、これは全く科学的根拠のない都市伝説。
実際は真逆で、みょうがの香り成分であるαピネンは眠気の防止もあるため、むしろシャキッとしたいときや勉強や仕事を頑張りたいときにもオススメな食材なのです。
夏は特に倦怠感が抜けないこともしばしばあるかと思いますので、みょうがを上手に摂り入れて、食べるアロマで涼を取り入れましょう。
いつもの冷奴を料亭の味に変える裏技
みょうがというと、そうめんや冷奴の薬味として使うことがほとんどだと思います。
みょうがの下ごしらえは、あく抜きのため水にさらすのが一般的ですが、αピネンは揮発性しやすいので長時間水にさらしたり、切ってから放置をしたりすると、どんどん香りが失われてしまいます。香りを楽しむためには
・ 食べる直前に切る
・ 水にさらすのは短時間ということを守ってください。
αピネンは油と相性が良いので、いつもの冷奴に刻んだみょうが、大葉をのせてゴマをふり、仕上げに少量の塩とゴマ油を垂らすと風味が変わり、吸収もよくなるという嬉しい効果があります。
ほんの一手間ですがいつもの冷や奴が本格的な一品に早変わりしますよ。
おにぎりやにぎり寿司にもなっちゃう
また、おにぎりを握る際に刻んだ大葉とみょうが、オリーブオイルを少量加えたものを混ぜてむすぶと夏らしいすずやかなおにぎりに早変わり。
ボリュームがほしければ、焼いてほぐしたアジを入れるのもおすすめです。
すし酢に砂糖を加えみょうがを漬け込んだ「簡単みょうがの甘酢漬け」もオススメ。
ピンク色に変わり、トッピングとしても使えますが、にぎり寿司にしてみるのはいかがでしょう。
ビールのおつまみにも最高ですよ!
管理栄養士・フードコーディネーター・薬膳インストラクター。ダイエット専門のサロンでの食事指導を経験後、料理人として3年間飲食店の厨房に立つ。現在は料理と器の相性を大切にし、美味しく、健康的な料理の開発や執筆に携わる。プロフィールを詳しく見る
切ってのせるだけ、というイメージが強いみょうがですが、この夏はみょうがを使ってワンランク上の食卓を楽しんでくださいね!