動脈硬化のリスクを計る指標になる値
トリグリセリドはいわゆる中性脂肪(ぜい肉)のひとつ。健康診断表では「TG」と表記されます。食事から摂取した糖分や脂肪分などは本来エネルギー源となりますが、余剰分は脂肪となって皮下や臓器、血中などに蓄えられます。消費せず摂取してばかりだと、どんどん増えていきます。
トリグリセリドの量が増えると、動脈硬化や脂肪肝、膵炎を発症する恐れがあります。そのため、健康診断では、動脈硬化やそれにかかわる疾病リスクを測るためにトリグリセリドの値を調べます。
150mg/dL以上は要注意。LDLコレステロール値も高い可能性も
トリグリセリドの基準値は30~149mg/dLです。低くすぎる場合(29mg/dL以下)は、エネルギー不足に陥り疲れやすくなったり、動機や息切れといった神経機能の低下をまねいたりするおそれがあります。
また、150~399mg/dLと基準値よりも多い場合は要注意。400mg/dL以上の数値は異常値とされますので早めの対策が必要です。
トリグリセリドはコレステロールと密接な関係にあり、悪玉といわれるLDLコレステロールの値は、トリグリセリドの値と比例して上がる一方、善玉といわれるHDLコレステロール値は下がる傾向が見られます。
そのため、トリグリセリド値が高い人は悪玉コレステロール値にも注目しましょう。LDLコレステロールは増えすぎると、動脈硬化を引き起こす原因となります。
食べ過ぎ・飲み過ぎ、そして運動不足
トリグリセリド値が高くなってしまう原因は、食べ過ぎやアルコールの摂り過ぎ。肉の脂身や揚げ物などが好きな人は要注意です。
また、運動しない人は摂取した脂肪がエネルギーとして消費されずに体内に溜まり内臓脂肪が増えていきます。
食事から摂取する脂質の約90%がトリグリセリドで、体内に入ると胆汁酸によって、水に溶けやすい物質へと変化。その後、すい臓から分泌される分解酵素のリパーゼにより分解され体内へ吸収されます。
吸収されたトリグリセリドは、リンパ管や血管を通して全身へ運搬され、エネルギー源として使用されたり蓄えられたりします。しかし、エネルギー消費自体がすくないと内臓脂肪となり身体にこびりついてしまうというわけです。
異常値が続く動脈硬化や脂肪肝に
トリグリセリドの異常値が続くと、動脈硬化や脂肪肝、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病などを発症するおそれがあります。
また、トリグリセリドを分解するために、すい臓が分解酵素のリパーゼを作り続けてしまうため、疲労したすい臓が炎症をおこす可能性もあります。
すい臓は血糖値を下げるインスリンをつくる場所でもあるため、炎症が起こると糖尿病を発症するリスクが上がります。
糖尿病
血中のトリグリセリド値が高いとインスリンの効果が薄れてしまうため、血糖値が下がりにくくなります。そのため、糖尿病を発症する可能性が上がり、さまざまな合併症のリスクが高くなるのです。動脈硬化
高トリグリセリド状態は悪玉コレステロールの値が高くなります。そうすると悪玉コレステロールの大きさが小さくなり、超悪玉コレステロールに進化。小型となったことで血管の中に入りやすくなり、動脈硬化を進行させてしまいます。脂肪肝
脂肪肝は40代前後の男性のうち、約10人に2人が発症している疾患です。肝臓に脂肪が溜まりすぎると肝機能が低下。血流が悪くなったり疲れやすくなったりします。症状が進行すると肝硬変をおこします。脂質異常症(高トリグリセリド血症)
高脂血症ともいわれている症状です。摂取した脂質が使われずに血中に溢れてしまっている状態。血中の脂質が固まってしまうと、血管の幅を狭めたり血栓をつくったりして、動脈硬化になってしまいます。脂質・糖質をおさえて代謝を上げよう
高トリグリセリド値の人は、食事内容を見直してみましょう。脂質が多いものを控えるのはもちろんですが、その分炭水化物(糖質)の摂取量が増えないよう注意が必要です。また、摂取したエネルギーを運動で消費することも大事。
低トリグリセリドの人は、別の疾患が関係していることもあるため医師へ相談して検査してもらいましょう。
食生活の改善と有酸素運動がカギ
トリグリセリドの異常値を改善していくためにできることをまとめています。健康診断の結果を受けて対処法が気になる人はチェックしてみてください。
すでに自己流で食事制限や運動などを始めている人は、取り入れられる新しい要素がないか参考にしてみてくださいね。
まずは食べ物から見直そう
高トリグリセリド値を改善するなら、食事の見直しから始めましょう。脂質の多い食品を控えることはもちろん、食べ過ぎないように腹八分で抑えるよう意識してください。
また、寝る前の食事量を少なめにして摂取エネルギーを摂り過ぎないようにしてください。寝ている間はどうしてもエネルギー消費量が減ってしまいます。詳しい食事量は医師の指導を仰いでもいいでしょう。
小腹が空いてしまうときは、ナッツ類やヨーグルトのほか、あんこを使った和菓子などを食べるようにしましょう。あんこに使われる大豆には中性脂肪を下げるはたらきがあります。ただし、糖分を取りすぎないよう注意してください。
引用元:ファミリーマート
http://www.family.co.jp/goods/obento/0614467.html
引用元:キッコーマン
https://www.kikkoman.co.jp/products/product/K581010/index.html
引用元:ローソン
https://www.lawson.co.jp/recommend/original/detail/1316904_1996.html
引用元:セブンイレブン
http://www.sej.co.jp/i/item/140100090762.html?category=344&page=1
引用元:ローソン
http://www.lawson.co.jp/recommend/original/detail/1312327_1996.html
引用元:ファミリーマート
http://www.family.co.jp/goods/salad/1210439.html
まずは食べる量ではなく食べるものを変えてみて
高トリグリセリド値を改善するには、脂質の摂取量を減らす、油を不飽和脂肪酸へ置き換えるといった食べ方をすると良いでしょう。さらに中性脂肪の代謝をサポートする成分を含んだ食品を加えることで、トリグリセリド値は改善するはずです。
食事の質と量に気を配る必要がありますが、あまり難しく考えすぎず、今日始められることから取り組んでいきましょう。
有酸素運動が効果的な理由
中性脂肪を減らすには、有酸素運動が必要です。何故かというと、有酸素運動で使われるエネルギー源は脂肪だからです。ちなみに、無酸素運動の時は筋肉に蓄えられた糖質が使われます。
また、適度に強度な運動は血流を良くするため、動脈硬化の予防につながります。1日30分程の運動を続けるようにするといいでしょう。
おすすめの運動はラジオ体操です。ラジオ体操は本気でやると結構ハード。全身を使うので、ストレッチ効果も得られます。
節酒と禁煙が数値改善のカギ
生活習慣を改善するために心掛けたいのが禁煙と節酒です。タバコに含まれるニコチンは中性脂肪を増やすはたらきがあるので、節煙することを意識しましょう。
また、お酒を過剰摂取すると中性脂肪と悪玉コレステロールが増えるほか、食欲が増して暴飲暴食につながることもあるため、節酒を心がけてください。
しかし、そうした生活習慣の改善を試みてもトリグリセリド値が150mg/dL以上から改善されない場合は、医師から薬が処方されることもあります。
心当たりのある方は、かかりつけの医師に相談してみてください。
正常値に戻す成分を効果的に摂るには
トリグリセリド値を正常に戻す成分は、魚やお茶などから摂取できるので、食事メニューを少し意識して変えてみましょう。ポリフェノールを飲料(お茶やコーヒーなど)から摂取する場合は、効果が4時間ほどで消えるので日中こまめに摂ることをおすすめします。ただし、カフェインの摂り過ぎは体調不良をまねくおそれがあるため注意してください。摂りたい成分だけをピンポイントで摂取するために、サプリメントや健康食品を利用するのもいいでしょう。
体は食べたものでできていることを意識しましょう
トリグリセリド値が異常値になる主な原因は、偏った食生活や生活習慣の乱れ。
私たちの体は食べたものでつくられますので、油の多いものを食べ続ければ、体に油が溜まってしまうのは当たり前のことなのです。
食事と生活習慣を見直せば異常値は改善できる
トリグリセリド(中性脂肪)値は、食事や運動によって比較的改善しやすい数値です。しかし、すぐに効果があらわれるものではないので、根気強く改善を続けていきましょう。食事に運動、生活習慣の見直し…とすべてを一気に変えるのは大変です。無理のない範囲の運動を続ける、自炊が苦手な人はサプリメントで有効成分を補給するという風に、長期間継続しやすい改善方法を見つけてみてください。