貧血の診断に用いられるヘマトクリット
ヘマトクリット(Ht)とは、血液中に含まれる赤血球の割合、またはそれを調べる検査のことです。赤血球数やヘモグロビン濃度と合わせて貧血の判断する基準とされており、赤血球の割合が少ないと酸素がすみずみまで供給されていないことを意味します。
ヘマトクリット検査では採取した血液を分離し、固体と液体に分け、その割合を測定。基準値から大きく外れている場合は、さまざまな病気を患うおそれがあります。
異常値になると貧血や多血症が起こる
ヘマトクリットの基準値は成人男性で40~50%、成人女性で34~45%です。数値が高い・低いにかかわらず、基準値から大きく外れると異常値と診断されます。
ヘマトクリット値が低い場合は貧血の可能性があり、ヘマトクリット値が高いと赤血球が異常に増える多血症が疑われます。
多血症には、骨髄異常が原因の「真性多血症」と、脱水症状が原因の「相対性多血症」の2種類あり、真性多血症は病院での治療、相対性多血症は足りなくなった水分を補うといった対処が必要です。
また、ヘマトクリット値はヘモグロビン濃度と並行して変わるため、どちらかが異常値だった場合はもう一方も引っかかる可能性があります。
貧血や脱水症状、骨髄の異常などが考えられる
ヘマトクリット値が異常値になる原因として、貧血や脱水状態、体調不良があります。
基準値よりも低い場合
赤血球が減って血液が薄くなっている証拠。貧血や多量の出血などの要因が考えられます。 また、がん治療に使われる抗がん剤が赤血球をつくる骨髄細胞に影響し、ヘマトクリット値が低下するケースもあるようです。基準値よりも高い場合
主な原因は脱水症状により体の水分が不足し血が濃くなること。体調不良やストレスによって一時的に上がることもあります。脳や臓器の異常を引き起こしやすくなる
ヘマトクリット値の異常が続くと、体にいろいろな不調があらわれるおそれがあります。
血液が濃くなったり薄くなったりすることで臓器や神経に異常が起こり、頭痛やめまいなどの症状が発生。その結果、心臓や脳の病気にかかるリスクが高くなることがわかっています。
貧血
ヘマトクリット値が低くなると体内へ酸素を運ぶ機能が低下し、貧血がひどくなります。ふらつきやめまいなどが起こるようになり、人によっては日常生活が困難になるケースも。悪化すると、動悸や筋肉のこわばりなどを引き起こします。狭心症
ヘマトクリット値が高い状態が続くと血液が濃くなり、心臓の冠動脈内にコレステロールが溜まって動脈硬化を発症。すると血管内が狭くなり、血液が不足して胸の痛みや圧迫感を感じる狭心症が起こります。血栓症
ヘマトクリット値が高いときは、血液が濃くドロッとした状態です。血液の濃度が高いと血栓ができやすくなり、血流を阻害。すると血管が詰まり、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こして脳や心臓の細胞に障害を受けるようになります。治療は食生活と生活習慣の改善から
ヘマトクリット値が異常になる主な原因は貧血や脱水症状。根本的に治療するには、食生活から変えることが大切です。
体調不良やストレスが原因になることもありますが、こちらは肥満ぎみで運動をあまりしない人に起こりやすい傾向があります。そのため、生活習慣を改善するのが、正常値に戻す近道といえるでしょう。
鉄分が多い食品と水分補給が改善のカギ
ヘマトクリット値は、食事や生活習慣を変えることで改善できます。ここでは食事の摂り方や運動などの生活習慣から、ヘマトクリットを異常値にしないための対策を解説。自己流でヘマトクリット値をコントロールしている人も、より効果的にヘマトクリットを正常値に保つための方法として参考にしてみてください。
基準値より高い
ヘマトクリット値が低い人は貧血を改善することで基準値まで戻すことができます。貧血の中でも鉄欠乏性貧血はヘマトクリット値に大きく影響するため、鉄分が多い食品を積極的に摂りましょう。
また、赤血球をつくる細胞の異常がヘマトクリット値を下げる原因となることも。その場合は、正常な赤血球の生成に必要なビタミンB12を摂るのがおすすめです。
基準値より高い
ヘマトクリット値が高い場合は脱水症状が主な原因となるので、なるべく水分補給を欠かさないようにしてください。水分補給でも改善しない場合は、病院を受診しましょう。
引用元:ファミリーマート
http://www.family.co.jp/goods/salad/1220438.html
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数値をあげるなら、肉・魚・海藻などを積極的に摂りましょう
赤血球の割合を示すヘマトクリット値は、鉄分を摂取することで改善できると考えられています。
肉や魚、海藻には鉄分が多く含まれているので、積極的に摂るようにしましょう。肉ならレバー、魚はまぐろや鮎、海藻はひじきなどがおすすめです。特に肉や魚に含まれるヘム鉄は吸収率がよく、体内に取り込みやすいのが特徴。
ヘマトクリット値を早めに改善したいなら、動物性の食品から鉄分を摂ってください。
改善には適度な運動と低酸素トレーニングが最適
運動不足の方だと、軽い体調不良やストレスでもヘマトクリット値が増減します。正常値を維持したいなら適度に体を動かし、運動不足を解消しましょう。
ただし無理な運動は禁物です。水分不足や貧血、多血症などによって、頭痛・めまいが起こりやすいため、軽い運動にとどめてください。
また、ヘマトクリット値を上げる方法として低酸素トレーニングがあります。酸素が薄い高地で運動することで、酸素を運ぶ赤血球を増やせます。
栄養バランスの良い食事と生活習慣の改善が◎
【ヘマトクリット値が低い人】
栄養バランスに気をつけながら、鉄分を含む食材とビタミンを一緒に摂るのがおすすめ。30分ほどの有酸素運動を行い、ヘモグロビンを増やすのも効果的です。
【ヘマトクリット値が高い人】
血液がドロドロになっているため、こまめに水分を取りましょう。また、ストレス解消や禁煙にも、ヘマトクリット値を下げる効果があります。
鉄分・水分補給をしても改善しない、または数値が高すぎる場合は医師に相談してください。
鉄分をサポートする成分と一緒に摂る
鉄分とビタミンは一緒に摂りたい成分です。とくに、非ヘム鉄はヘム鉄に比べて吸収率が悪いため、吸収を助けるビタミンCと一緒に摂るようにしましょう。 ビタミンB12は貝類や鶏レバー、葉酸はモロヘイヤやパセリなどに含まれています。野菜の調理が大変な場合は、ヘム鉄サプリメントを利用するのもおすすめ。一時的な補給ではなかなか改善しないため、継続摂取することが大事です。
ヘマトクリットが基準値より低い人
ヘマトクリットが基準値より高い人
過度のダイエットをしている女性は要注意
ヘマトクリット値が低くなりやすいのは偏食の女性です。女性はもともと貧血になりやすいのに加え、食事の栄養バランスが偏っていると貧血のリスクが高まります。
また、ヘマトクリック値が高くなる要因は、男女どちらにも当てはまります。特徴に当てはまる人は、健康診断の際にヘマトクリット値を気にしてみてください。
栄養不足から起こると知っておこう
ヘマトクリット値の上昇や下降は、必要な栄養が不足することで起こります。先天性のケースもありますが、数値が引っかかる人のほとんどが後天的なものです。 心当たりがある人は鉄分や水分を補給して、ヘマトクリット値を正常値に戻すよう心がけましょう。鉄分は、料理やサプリメントなど、自分が続けやすい方法を見つけて補ってくださいね。