亜鉛は多くの食品に含まれている
亜鉛は多くの食品に含まれており、穀類、肉類、魚介類、豆類、種実類、卵類、嗜好飲料と、普通に食事をしていれば摂取が可能です。ただし、亜鉛はストレス等で体内で消費されやすい成分であること、加工食品にはあまり含まれていないことなどから、近年は意識的に摂取しなければ不足する、と注意喚起されています。
中でも亜鉛を多く含む食品の代表は、「海のミルク」とも言われる牡蠣です。牡蠣には可食部100gあたり約13.2mgもの亜鉛が含まれます。またそれよりも多いのが「小麦胚芽」で100gあたり約15.9mgの亜鉛が含まれています。他にはからすみ、パルメザンチーズ、煮干し、豚レバー、するめ、カシューナッツも亜鉛あ豊富に含まれる食材として知られます。
日本人の場合は主にご飯や食パンなどの主食となる穀類から亜鉛を摂取しています。米(精白米)は100gあたり0.6mg、食パンは100gあたり0.8mgの亜鉛を含みます。(食パン8枚切り1枚は約45gです。)その他にも肉類では、和牛(肩、赤身、生)100gで5.7mg、魚介類では、煮干し100mgで7.2mg、豆類では糸引き納豆100gで1.9mg、種実類のいりごま100gで5.9g、卵類の卵黄100gには4.2mgもの亜鉛が含まれています。日本人の食事摂取基準(2015年度版)によると、亜鉛の摂取目安量(1日あたりの摂取推奨量)は、成人男性で12mg、女性で9mg、子ども7mgとなっています。妊婦はこれに+2mg、授乳婦は+3mgの付加量があります。
しかし厚生労働省による、国民健康・栄養調査(平成20年)によると、亜鉛の1日平均摂取量は、成人男性で8.9mg、女性で7.3mgと、摂取目安量より下回っている現状があります。特にダイエットや菜食、加工食品の多用など、偏った食事をしていると亜鉛不足になりやすいため、注意が必要なのです。
妊婦さんに亜鉛が必要な理由
上記で示したように、妊婦や授乳婦は亜鉛を少し多めに摂取する意識が必要です。特に妊娠初期に亜鉛の欠乏症が生じると、赤ちゃん(胎児)の免疫機能や知能の発達に悪影響を及ぼすことがわかっているからです。早産や流産との関係も指摘されています。
また、母体の貧血を予防したり、免疫力を維持するためにも亜鉛は不可欠だからです。また妊娠中に味覚が変わったと訴える女性が少なくありません。これも亜鉛と味覚障害でもご紹介した通り、亜鉛不足による一時的な障害です。妊娠することで赤ちゃんに亜鉛が奪われ、一時的に味覚障害になっている可能性が高いとされます。
乳児期から幼児期の子どもの成長を助けるためにも不可欠な栄養素であるため、授乳婦も亜鉛が不足しないように意識すべきなのです。私たちの体における亜鉛の効果効能は多岐にわたり、もちろんどの世代も不足が起こらないよう意識すべきです。
亜鉛の吸収を良くする栄養素、阻害する栄養素
亜鉛はクエン酸・ビタミンC・動物性たんぱく質と組み合わせて摂取することで、吸収率を高められます。
クエン酸・ビタミンC・動物性たんぱく質を多く含む食品は以下の通りです。
- クエン酸を多く含む食品酢・梅干し・キウイ・みかん・なし・レモン・いちご など酸味のあるもの
- ビタミンCを多く含む食品トマトやピーマン、かぼちゃなどの野菜類、アセロラ柑橘類などの果物類
- 動物性たんぱく質を多く含む食品まぐろ(赤身)、さば、かつおなどの魚類、鶏ささみ、豚ヒレ肉などの肉類、チーズなどの乳製品
食物繊維や豆類、種実類に多く含まれているフィチン酸や加工食品に多く含まれている添加物は亜鉛の吸収を阻害してしまいます。1960年代に中近東で発生した亜鉛不足による発育不全も、フィチン酸を含む食事を多く摂取していたことが原因の1つでした。
血液、尿、唾液など生体から得られる情報と十分な問診をもとに、治療を行なうクリニックです。標準的な治療以外にサプリメント、天然ホルモンを用いた栄養療法、食事指導を重点的に行なっています。病気を根本から治療するのにあたって正確な診断が必要です。そのために当院では様々な方法をとっており、重篤な疾患の場合でもその根本原因に対する治療を行なっていきます。